「戦後最長」の「安倍景気」を信じていいのか 「小泉景気」と「安倍景気」、マシなのはどっち?

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第3は就業者数が大きく伸びていることで、小泉景気ではわずかに97万人、それが安倍景気では375万人(2018年第3四半期まで)の増加となっている。もっともこの増加は、高齢者や女性、外国人が多く含まれていることもあり、個人消費の増加にはかならずしも結びついていないことは、以前に当欄で指摘した通りである (雇用者急増でもGDPが減る日本経済の「謎」)。

そのときの拙稿を読み返してみると、「総雇用者所得が前年比3.5%も伸びている。日本全体の所得は確実に増えているはずなのだ」などと書いている。いや、もちろん働く人の数は増えていたのであるが、現金給与が増えているように見えたのは、例の厚生労働省の「毎月勤労統計」における不適切調査の反映であった。ああ、悔しい。騙された。変だと思ったんだよな。名目賃金の伸び率が21年ぶりの高水準となっていたのは、恣意的なサンプル企業の入れ替えが原因であったようだ。

今の回復局面はあとどれくらい続くのか?

と、それはさておいて。問題は今の回復局面があとどれくらい続くかだ。今さら繰り返すまでもなく、米中貿易戦争、米連銀の「出口政策」、英国のディールなきEU離脱、中国経済の急減速、特にハイテク関係の調整など、外的要因は地雷だらけ。不安は尽きないが、これらは手の打ちようがない。

国内では秋に消費増税を控えている。「2度あることは3度ある」と増税延期を期待する声も一部に残っているようだが、週明けの1月28日には通常国会が始まってしまう。そこで審議される平成31年度予算案は、10月1日以降の消費税の税率アップとそれを原資とする幼児教育の無償化、社会保障の充実まで全部を含んだものである。

安倍内閣が増税を延期するためには、この予算全体を見直さなければならない。理屈から言えば、3月末までそのチャンスはゼロではないし、「リーマン級」のことがあればもちろん果断に対応せねばならない。ただしここまで来ると、3度目の延期を想定することはさすがに現実的ではなくなっている。

これに対し、2%の税率引き上げによる歳入増を上回る6兆6000億円もの増税対策が予定されている。軽減税率は現場の混乱を招きそうだし、キャッシュレス決済におけるポイント還元やプレミアム商品券の発行も「大丈夫か?」という気がするのだが、安倍首相は「どーんとやらないと意味がない」と言っているそうである。

先日、某業界団体の新年会に出ていたら、壇上に上がった政治家が「増税対策は十分に措置してありますからご心配なく。新しく不動産を購入する予定がある方は、10月1日以降の方が有利になりますよ」と言っていたのには驚いた。そこまで手が回っているのか。しかしそれって、2%の負担増が財布に堪える人たちにとって、あんまり関係のない話だと思うのだが…(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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