どうやら日本経済は、「戦後最長の景気拡大」に差し掛かっているらしい。今の景気回復局面は、2012年12月を起点とすると認定されていて、2019年1月もそれが持続するとすれば、合計で74カ月(丸6年と2カ月)となり、めでたく戦後最長ということになる。「それは結構、パチパチパチ……」どうしたんだ、この静けさは。
「安倍景気」は「安倍不景気」の間違い?
「全然そんな実感なんてないんですけど・・・」、という声が聞こえてきそうだ。念のために申し上げると、景気の「山谷」の判定はテクニカルなものであって、データのさらなる蓄積を待って専門家の事後的検証を受けて正式に決定することになる。
ゆえに上記の判断も暫定的なものである。ただし内閣府の景気動向指数研究会は、とりあえず現在の回復局面は「いざなぎ景気」の57か月間を超えたと判定している。
「いざなぎ景気」と言えば、筆者がまだ小学生であった1965年11月から1970年7月までの期間である。何しろ東京五輪と大阪万博の間であるから、世は高度成長期の真っ只中。「カー、カラー(TV)、クーラー」の「3C」が大ヒットして、日本経済の成長率は毎年2ケタ台であった。成長率は平均1%程度という現在から見れば、まったく異次元の世界である。
その後、ずいぶんたってから、小泉政権時代に輸出主導型の景気回復が始まり、これが2002年2月から2008年2月まで73カ月も続いた。現時点ではこれが戦後最長の拡大局面とされていて、これを何と呼ぶかは「いざなぎよりも長いから『いざなみ景気』」とか、「いざなぎ“超え”景気」、あるいは「戦後最長景気」などと諸説入り乱れ、結局どれも定着せずに今日に至っている。
そりゃ、そうでしょうよ。仮に2002年に始まった局面を「小泉景気」、2012年末に始まった今次局面を「安倍景気」と呼ぶことにしたら、「待てまて、それは『小泉不景気』と『安倍不景気』の間違いじゃないのか?」てな突っ込みが入ることだろう。
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