航空機の機長はなぜ「積乱雲」をおそれるのか 日本上空にもたびたび出てくる
飛行中に揺れた場合、上昇するかまたは降下するかは、これらのさまざまな条件を考え合わせて、最も適切な高度を選択し、飛行する。
日本の上空は世界でも有数のジェット気流が吹く場所である。ジェット気流の強さは時速300㎞を超えることもある。このジェット気流は徐々に強くなるわけではない。上空の特定のある高さで急激に強くなる。そのため、高度を1000フィート(約300m)変える間に、風速が80㎞も変わることがありうる。
パイロットにとって最も怖いのは積乱雲
飛行機は風の中を飛行している。急激に風速が変化すると、飛行機自体の速度が変化する。冬場、西風が強いときに西に向かって上昇していると、風速の変化により、急激に飛行機の速度が増すことがある。
飛行機は制限速度が決まっている。制限速度が340ノット(飛行機の速度を表す単位:1ノット=1.852㎞/h)の時に330ノットで飛行しているとして、急に前からの風速が20ノット増加すると、飛行機の速度は350ノットになって制限速度を超えてしまう。このような時は、速度を300ノットにして上昇すれば、前からの風が20ノット増えても320ノットで、制限速度は超過しない。
冬場、西風の強いときには、西に向かっての上昇は速度を下げて制限速度に余裕を持った状態で飛行することが望ましい。
これのまったく反対が、冬場西風が強い時の東に向かっての降下である。高度を下げることにより、後方からの強い風が急激に減ると飛行機の速度が増す。冬場、風が強いときに東向きに降下するときも、あらかじめ速度を減じ、制限速度に対して余裕を持たなければならない。
パイロットにとって最も怖いものの1つに、積乱雲が挙げられる。発達した積乱雲の内部では、上昇気流と下降気流が存在し、非常に強い空気の渦ができる。この渦の中では、機体が破壊されることもありうる。パイロットは積乱雲の内部に入ってはならない。また内部に入らなくても近くを飛行するだけでも危険な状態になることがありうる。そのほかにも、雷撃、雹(ひょう)などさまざまな危険が存在する。
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