航空機の機長はなぜ「積乱雲」をおそれるのか

日本上空にもたびたび出てくる

一流のパイロットに求められる観察眼と判断力とは(写真:TOSHI.K/PIXTA)
日本航空(JAL)のボーイング747機長として、世界30カ国の主要空港へのフライト経験を持つ横田友宏氏。長年にわたり航空業界の最前線に立ってきたキャリアから、「いま起こっている事象を見て、それに対処するだけの人間は決してパイロットにはなれない」という。一流のパイロットは操縦中に何を考え、将来を見たリスク管理を行っているのか。自著『国際線機長の危機対応力』から、気象の変化を例に対応策を紹介する。

飛行機が揺れたときどうするか

飛行機が大きく揺れたときにいちばん大切なのが、お客様や客室乗務員にけがをさせないことである。飛行機が大きく揺れると、乗客または客室乗務員がけがをすることがある。現代の飛行機において、「揺れない」ということは非常に重要なことである。パイロットは計画段階において、揺れが最も少ない高度を選択する。

しかしながら、実際の天気はその高度を飛んでみないとわからない。もし、ある高度に到達して飛行機が揺れた場合は、通常、上昇または降下により高度を変える。その時に、どのように高度を変えるかが重要である。

パイロットとして重視していることが2つある。1つは雲の形である。ある高度の雲が波打っている場合、とくに飛行機雲が大きく波打っている場合、その高度の空気は乱れていて、飛行機がその高度を飛ぶとかなり揺れることが予想される。そのような高度は避けなければならない。

もう1つは、ほかの飛行機の高度である。一般に、揺れがあるとパイロットはその高度を避け、揺れない高度を飛行する。逆に言うと、多くの飛行機が集まっている高度近辺は揺れない高度であることが考えられる。

さらに考えなければいけないのが、燃料の消費量と時間だ。ジェット機は高度と燃料の消費に因果関係があり、その時の重量や気象状態に応じて最良な高度がある。揺れるからといってむやみに高度を下げると、燃料の消費量が増える。国内線の場合はまだ消費量の増加には限りがあるが、長距離国際線の場合、下手に高度を下げると、目的地に到着した時に必要十分な燃料が残っていないこともありうる。

またジェット気流が強い時期に高度を変えると、風の速度が大幅に変わる。それにより下手に高度を変えると、飛行時間が大幅に増加する可能性もある。長距離国際線の場合、30分、1時間と変わる可能性もある。

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