「以前から新卒採用を行っていたのですが、新興企業である弊社はブランディングが弱く、売り手市場のなかで、思うように採用が進んでいませんでした。そこで行き着いたのが、何か面白い採用方法を打ち出すこと。『自分たちがワクワクするようなものを作りたい』『ふざけていることをまじめにやる』という考えで仕事を進めている会社なので、それを体現するような採用方法を考えることにしました」
キャンペーン実施による最大のメリットは、「認知度の向上」にあるといい、キャンペーンには参加しなくても、それで会社の存在を知り、ワンデーインターンや会社説明会など、通常の採用イベントに来る学生が増えたという。「『テクノモバイルさんって、変なことやっている会社ですよね』とよく言われるようになりました」(金子氏)
ただ、ユニーク採用だけでは、入社にまで結び付かないケースが増えてきたという。そこで、奇抜さは維持しつつ、参加しやすい勉強会やイベントを実施することで、採用へと結び付ける方法にシフトするようになった。
「採用」からハードルの低い勉強会にシフト
たとえば「メイドBotプログラミング勉強会」は、メイドカフェに勤める本物のメイドさんやテクノモバイルの社員と、プログラミングの勉強をするというイベントだ。
「BEERインターン」は、社員と共にプログラミングを体験するのだが、ビールやカクテルが飲み放題という企画。つまり、飲みながら社員と学生がチームを組んで一緒にプログラムを作り上げていくスタイルだ。
そして昨年12月には、「AI彼女制作勉強会」を行った。AIのソフトを使って自分だけのAI彼女が作れるこのイベントには、募集定員を超える15人が集まったという。そのうちのほぼ全員が、後日行われる、通常の選考に応募したそうだ。
「コンテストだとハードルが高いですが、勉強会なら、文系の学生さんも足を運びやすいのだと思います」(金子氏)。3年生の早い段階では、選考に臨む自信がない学生が多く、「採用」という名称だと敬遠されることが多い。しかし、イベントや勉強会であれば、気軽に参加でき、足を運ぶ学生は多くなるという。
こうした奇抜なキャンペーンが、新卒採用につながるのだろうかと、疑問を抱く人は多いと思うが、成果はしっかりと出ている。
テクノモバイルの2019年卒の採用では、30人の採用を目標にしたところ、それを上回る32人を採用することができた。しかも、例年は8月前後まで採用活動を行っているが、今期はそれよりも2~3カ月前に打ち切ったという。
「かつては、新卒学生を5人ぐらいしか採用できませんでした。キャンペーンなしに、30人も採用するのは難しかったでしょう」(金子氏)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら