「学生をイベントで集める」が採用の新潮流だ テクノモバイルは奇抜さ維持しつつ進化図る

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採用に結び付いている背景は、奇抜なキャンペーンの効果だけではない。勉強会やイベントを通して、テクノモバイルの社員とより一層、交流を深める機会をつくれることだ。

夏休みに最大1週間働ける「エンジニア体験入社」はその一例。先輩社員が手取り足取り教えるので、自然と親しくなれる。また、毎月第3金曜日の夜に開催している、社員向けに無料で飲み食いできる「タダ飯会」には、内定した学生だけでなく、選考中の学生も参加できるようにしている。「新卒の学生さんは、会社に入ると、飲み会の強要や『ビールをつがされることがあるのでは?』と思いがちですが、一度タダ飯会に参加すれば、そういう雰囲気がないことがわかります」(金子氏)。

何らかのイベントや説明会などに参加した学生には、採用担当者のLINEのIDを教え、就活に関する相談に応じるようにしている。「選考に関係なく、就活で気になることがあれば、気兼ねなく連絡してくださいと伝えているので、よく連絡がある」という。

イベント立案には社員が積極的に関与

複数の機会で、社員と交流を深めることで、学生は、内定をもらう前から、テクノモバイルの社風や社員を熟知した状態になる。

「学生さんからは、『もう先輩のことを知りすぎて、話すことが何もないよ』と冗談で言われることもあります。たくさん交流することで、自分が働くイメージがついたり、『この先輩の下で働きたい』と思うようになったりして、弊社に入社を希望するようになった、という声は数多く聞かれます」(金子氏)

テクノモバイルから見ても、勉強会やイベントで、何度も学生と接することは、通常の面接では落とされやすい「内向的だけれども、高い技術を持った人材」の発掘につながる。奇抜なキャンペーンを出発点として、学生と企業の双方が納得のいくマッチングができる仕組みを作り上げることができている。

こうした採用イベントを実現させるためには社員の協力も欠かせない。一連の採用活動は、人事だけでなく、「ナイカツ」チームによって行われている。ナイカツとは社内活動の略で、面白い採用を考える採用チームや、タダ飯会を運営するイベントチームなど5つのチームがある。

主に入社1~2年の社員が、普段の仕事と並行して、これらの活動を行っているという。この活動に参加すれば手当も出るので、社員のモチベーションは高い。こうした組織があるから、学生との交流が密にできるわけだ。

一見、奇抜なだけのように見えるテクノモバイルの採用キャンペーンだが、実は、「学生と会社の距離を縮める仕組み」が巧みに構築されていた。ユニーク採用やイベントにも、こうした仕組みがなければ、採用に結び付けることが難しいということだろう。売り手市場が続く中、「距離を縮められる方法」を豊富に用意しているかどうかが、採用の成果を大きく左右することになりそうだ。

杉山 直隆 オフィス解体新書・代表

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すぎやま なおたか / Naotaka Sugiyama

1975年生まれ。専修大学法学部卒業後、カデナクリエイト入社。ビジネス誌やビジネス書、企業の社内報・PR誌の執筆・編集を主に手がける。2016年に独立(屋号:オフィス解体新書)。社会人インターンシップ情報を紹介するブログメディア「30歳からのインターンシップ」を立ち上げ、取材活動をしている。共著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』『図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書』『クイズ商売脳の鍛え方』など。

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