【産業天気図・外食】消費者の買い控えで高級業態が大苦戦。今期業績も再減額続出で引き続き雨模様

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

外食業界は消費者の生活防衛に伴う買い控えにより2008年度後半の業界天気図は「雨」、09年度前半も「雨」となりそうだ。業界団体の日本フードサービス協会が調べた08年10月の市場動向調査(183社、2万8882店)によると、全体の既存店売上高は前年同月比0.6%減と微減、客数は1.1%減となっている。

業態別に見ると、高級業態のディナーレストランが10月の既存店売上高が前年同月比5%減と大苦戦している。今年3月には前年同月比1.1%増だったから、7ヶ月間で6%程の下落と最も落ち込み幅が大きい。

ファミリーレストランも低迷が続く。ファミレス最大手のすかいらーく(非上場)は10月の既存店売上高が1.6%減と前年同月を割り込んだ。ガストは堅調なものの、和食業態の夢庵が苦戦しているためだ。11月はやや持ち直しているが、今年前半の落ち込みをカバーできない。ロイヤルホールディングス<8179>は「会社四季報」09年新春号で営業利益の予想数字を前号の22億円から18億円まで再減額。10月の既存店売上高は6.5%減と低迷が続いており、店舗人件費や水道光熱費等の固定費が重くなっているためだ。好採算のホテルも稼働率が低下して会社計画の営業利益22億円は下振れは濃厚だ。
 
 喫茶業態では、スターバックスコーヒージャパン<2712>が消費低迷の影響を受け、10月の既存店客数は前年同月比6%減、既存店売上高は前年同月比2.5%減と足元でも苦戦。11月には若干上向いているものの、乳製品などの食材高や、社員・アルバイトの待遇改善に伴う給与引き上げが響いて今期は6年ぶりの減益となりそうだ。「会社四季報」新春号では営業利益を前号の60億円から再減額して48億円と予想している(会社計画50億円)。一方、ドトール・日レスホールディングス<3087>はコーヒー豆や小麦粉等の価格上昇に伴い3月からドトール、エクセルシオールともに20~30円ほど値上げ。足元の業績は堅調だが、パスタ業態の日レスが苦戦しており、今期の収益が目減りする可能性も残る。

苦戦の業態を尻目に好調なのがファーストフードだ。ただ、マクドナルドが独り勝ちで牽引している状況だ。日本マクドナルドホールディングス<2702>は10月の既存店売上高が6.3%増と好調。11月には14.4%増と今期最高の好業績をたたき出している。節約志向に伴い100円商品の訴求力がぐっと高まって顧客を取り込んでいるほか、11月に発売した従来品と比べビーフパティが2.5倍の新商品「クォーターパウンダー」も貢献している。今期3回の値上げを行って食材高を吸収、客単価も拡大。今08年12月期も増収増益達成の公算が高い。

消費冷え込みで明暗がはっきりしてきた外食業界。「安売り」以外の打開策を見出せるか今後の勝敗を分けそうだ。
(山本 亜由子)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事