今回、重要な問題として知って欲しいのは、情報を持っている投資家は、前記のような水準の手数料で資産の運用が出来ているということだ。「手数料の差など小さい」とおっしゃる方(あるいは、金融機関のセールスマンにそう言われた方)のために、手数料の影響の簡単な試算を表にしてみた。
中身が5%で回った場合の手数料と運用期間別の最終資産額(%)
年金基金などの機関投資家は、内外の株式の期待リターンを5%前後の数字で想定することが多い。仮に、金融商品(例えば投信)の運「中身」が5%で運用できるとして、10年後、20年後の運用元本に対する資産価値を、信託報酬のように資産額に対して毎年掛かる手数料率が0%〜2.0%までの場合を、0.5%刻みで計算してみた。
「情弱」だと大きな損をする
例えば、手数料率を年間0.5%で収めた人と、銀行窓口でよく売っている投信の信託報酬のような水準である1.5%を払い続けた人とでは、共に当初1000万円投資したとして、前者は2412万円を手にしていて、後者は1990万円にしかならない計算だ。前者は後者から見て2割以上多いし、投資元本に対しては4割多い。結果は大差と言っていいだろう。他人を必要以上に見下すニュアンスの言葉であまり好きではないが、敢えて強い言葉を使うと、両者の差がお金の運用にあって「情弱」であることの値段だ。
ここでもう一言、会社経営を考える立場にある読者に申し上げたい。仮に、2人の社員が同じだけの金額を老後の備えのために投資したとしても、金融リテラシーのある社員とそうでない社員との間には、支払手数料だけでも将来これだけの差が付くのだ。後者の社員について考えると、せっかく社員に支払った人件費が勿体なくないか。
せっかちな社長さんのために解決策を教えると、「取引金融機関の関係者ではないクリーンなお金の専門家」を使って(ここが急所である!)、社員のマネー教育を行うのだ。一見は目立たないが、効果は大きいし、確実だ。(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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