木下サーカスを支える「裏方の力」が凄すぎた 営業や調整のため公演「半年前」に現地入り
この年始は大阪うめきた公演が大盛況となっている「木下大サーカス」。集客数は年間120万人と世界のサーカス団の中でもトップ級を誇る。
木下家四代、117年にわたって、他に類を見ないファミリー企業(同族企業)として波乱と進化の歴史を歩んできた根源に何があるのか。年間120万人の集客につながる、地道な営業の「根」をどう張り巡らせているのか。
『木下サーカス四代記 年間120万人を魅了する百年企業の光芒』を上梓したノンフィクション作家・山岡淳一郎氏が驚異の観客動員力につながる独自のビジネスモデルについて解説する。
「一場所、二根、三ネタ」を磨く
木下サーカスは、世界のサーカス界で1、2の観客動員力を誇る。
そのビジネスモデルの特徴は「移動」を定式化しているところにある。ほぼ3カ月おきに全国の都市から都市を巡り、約2000人収容できる巨大テントを建てて公演を行う。同じ都市での公演は、少なくとも5~6年の間隔を開け、その間にショーの中身を変えて鮮度を保っている。
「一場所(公演地選定や現場運営)、二根(営業の根気)、三ネタ(演目)」の3要素を磨き、移動興行を事業化した。
まさに継続は力なりだ。
117年の実績と人脈、信用力で1年前に公演地を決め、遅くとも半年前には先乗りの営業部隊が現地に入る。そして、きめ細かな販売促進活動を、地元の新聞社やテレビ局と組んで根気よく、行う。
華やかなショーの舞台裏で展開される営業活動は鴨の水かきのようだ。
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