世界最大級「木下サーカス」を知っていますか 結成116年「超エンタメ集団」の舞台裏
エンターテインメント業界はサバイバル競争が激しい。「感動」を奪い合う戦場のようだ。インターネット全盛の現代、種々のゲームにユーチューブ、地上波、衛星放送、映画・演劇・コンサートのビデオと再現性の高い娯楽があふれている。消費者は、手軽に動画を再生し、泣いたり、笑ったり。再生回数が感動のバロメーターであるかのようだ。
年間120万人を魅了する「木下大サーカス」
そうしたなか、ライブの一回性に体を張って勝負するキラーコンテンツがある。「木下大サーカス」である。木下サーカス株式会社は、2カ月前後の公演を年に4~5回行い、年間120万人の観客を魅了する。130万人を超えた年もあり、世界のサーカス界で1、2を競う。他に類を見ないオンリーワンのファミリー企業(同族会社)だ。
ちなみに阪急電鉄が直営する宝塚歌劇団の本拠、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)は年間入場者数が119万人。ほぼ同等といえようか。札幌がホームの北海道日本ハムファイターズは年間観客動員数が約200万人。ダルビッシュ有や大谷翔平らスター選手を次々と輩出して、この数字だ。プロサッカーのJリーグで最も人気の高い浦和レッズは約60万人。木下サーカスの奮闘ぶりが推し測れる。しかも興行形態が独特なのだ。
人気歌劇団やプロスポーツチームが常設の「器」を持つのに対し、木下サーカスは本社こそ発祥の地、岡山市に置いているが、公演はつねに移動先の都市の「広場」で行う。その広さが半端ではない。仮設劇場のテントと、団員が暮らすコンテナハウス、動物の飼育スペース、事務所、売店、バックヤードなどで約1万平米、さらに観客の待機場所や駐車場を含むと3万平米(100×300m)、約1万坪を要する。
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