「待機児童」が地方より東京に集まる根本原因 データで読み解く「女性の社会進出」の歴史

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次に、山形県と東京都の女性の分野別就業率を見てみましょう。

[図表9]2015年・山形県・女性の分野別就業率(出典:2015年の国勢調査をもとに筆者作成)
[図表10]2015年・東京都・女性の分野別就業率(出典:2015年の国勢調査をもとに筆者作成)

ここを見ても、山形県の方が第一次・第二次産業に従事する割合が高く、東京都は女性が働く場所が少ないため就業率が低くなっています。この傾向は、およそ100年前から今まで、ずっと続いているようです。

続いて、女性の社会進出の話題で必ずとりあげられる「M字カーブ」の推移を見てみましょう。M字カーブとは女性の就業率を年代別に並べると、子育て世代の就業率が下がり、Mの字になっていることを表します。

東京と山形の「M字カーブ」比較

ここでは、1920年から2015年までの国勢調査のうち、10回の調査のM字カーブを比較してみました。

[図表11]東京都のM字カーブの推移(出典:1920~2015年の国勢調査をもとに筆者作成)
[図表12]山形県のM字カーブの推移(出典:1920~2015年の国勢調査をもとに筆者作成)

これを見ると、東京都は20%前後だった就業率が時代とともに上がっていくことがわかります。また、M字カーブがはっきりと表れるのは戦後の高度成長期からで、「高度成長期に専業主婦型社会が広がりM字カーブとなった」という従来の言説がぴったりとあてはまります。

いっぽう、山形県はどの時代も就業率が高い水準で安定しており、大きなM字カーブも見当たりません。

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