「待機児童」が地方より東京に集まる根本原因 データで読み解く「女性の社会進出」の歴史

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これをふまえたうえで、山形県と東京都(東京府)の女性の分野別就業率を比較してみましょう。

[図表5]1920年・山形県・女性の分野別就業率(出典:1920年 国勢調査)
[図表6]1920年・東京府・女性の分野別就業率(出典:1920年 国勢調査)

山形県はほぼ全国平均と同じ割合なのに対し、東京府は農林水産業の割合が低く鉱工業や商業・交通業の割合が高くなっています。ここから、山形県は農林水産業で働く女性が多いのに対し、東京府は働く女性の受け皿である農林水産業の従業者が少ないことがうかがえます。つまり、山形県は女性が働ける場所があるため就業率が高く、東京府は女性が働ける場所が少ないため就業率が低いのです。

2015年の分野別就業率

一気に時代は飛んで、2015年の分野別就業率を見てみましょう(1920年の職業分類に近くなるように現代の職業を計算し直しています)。

[図表7]2015年・全国・女性の分野別就業率(出典:2015年の国勢調査をもとに筆者作成)
[図表8]2015年・全国・男性の分野別就業率(出典:2015年の国勢調査をもとに筆者作成)

全国的に見ると、女性は男性にくらべて第一次産業や第二次産業に従事する割合が高くなっています。いっぽう、男性が女性にくらべて第三次産業に従事する割合が高いのは1920年と同じです。

次ページ2015年の山形と東京の「就業率」を比較
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