SUVと同じくワゴンブーム到来はありえるか 背の低さと大荷室、走行性が評価されていい

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SUBARU「レヴォーグ」とマツダ「アテンザワゴン」。日本車のステーションワゴンモデルはかつてに比べてずいぶん減った(写真:スバル グローバル メディアサイト、マツダ メディアサイト)
平成最後の12月がそろそろ終わろうとしている。この30年を振り返ると、乗用車のスタイルはずいぶんと多様化した。
昭和の時代までは乗用車といえば、どれもこれもセダンだった。ボンネットとトランクを持つ5人乗りの車だ。それがハッチバック、ステーションワゴン、ミニバン、SUV(スポーツ多目的車)などへと多様化して、今やセダンに乗る人は少数派になった。
そして今年、目立ったのがSUVの新型車だ。1990年代に起きたブームが再来したような印象を持っている人もいるかもしれない。その陰で同じく1990年代を中心に人気を博しながら、いまいち存在感を発揮できていないのがステーションワゴンだ。セダンと同等の低めの車高で走行性能を確保しながら、荷室を大きく取るスタイル。こだわって乗っている人がいるジャンルでもある。
ステーションワゴンはSUVのように再びブームになることはないのか。東洋経済オンライン「自動車最前線」の書き手である森口将之、西村直人、藤島知子の3人が、ステーションワゴンの現在、過去、未来について徹底的に語り合った(司会は武政秀明・東洋経済オンライン編集長)。

1990年代はステーションワゴンがブームだった

――今年、自動車メーカー各社からSUVの新型車が相次いで登場しました。一方で、かつてはステーションワゴンがブームになった時代もありましたが、今は見る影もないように思います。

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西村直人(以下、西村):ステーションワゴンがかつては市場に及ぼしたことは、SUVに乗用車的な感覚を備えた今のクロスオーバーSUVブームを作り上げた図式と、近いように思います。1990年代にスバル「レガシィツーリングワゴン」やホンダ「アコードワゴン」などが人気を博しましたが、あれも、もともとはセダンと商用バンの掛け合わせた一種のクロスオーバーだったと思います。

当時は社会的に考えても「背の高い車=乗用車ではない」という認識がありました。そんななかで、ステーションワゴンは商用バンと決別した上級なスタイルが受け入れられたわけです。当時のスキーブームやアウトドアブームにもうまく合致したのでしょう。そのイメージがあるから販売の現場でも売りやすかったし、製造現場でも車高は高くないのでセダンと同じラインで流せる。造りやすくて、車両価格もそんなに高くならないという美点もありました。

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