SUVと同じくワゴンブーム到来はありえるか 背の低さと大荷室、走行性が評価されていい

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その傾向が見え始めたのが仮に1990年だとして、2018年で30年近くが経過しました。たとえばヨーロッパではステーションワゴンがそれほど大きな人気を博しませんでしたが、今でも各ブランドの中で5割ぐらいのメーカーはステーションワゴンをラインナップに持っています。メルセデス・ベンツやアウディ、BMWもジャガーもです。

SUVからステーションワゴンへ移行

ヨーロッパの駐車場事情をみると地下の駐車場はセダン系のほうが入れやすい。道がすごく狭いこともあってちょっとずつSUVからステーションワゴンに移行しているようなユーザーもいます。

西村直人(にしむら なおと)/交通コメンテーター。1972年1月、東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。近著に『2020年、人工知能は車を運転するのか』がある。(撮影:梅谷秀司)

日本ではどうでしょうか。輸入車ではボルボの新型ステーションワゴン「V60」の売れ行きが好調で滑り出しがいいという話も聞きます。SUV、ミニバン、そして過去のセダンをみて、「何か違うものはないか」となったときにステーションワゴンに目が向かってもいいのかなと思います。

藤島知子(以下、藤島): ヨーロッパの道を走ってみると、今でも背が低くて、荷物が載るステーションワゴンのニーズは高いことがわかります。長距離を快適に安心感を得て移動することを考えると、ステーションワゴンの魅力は光るのでしょうね。

森口将之(以下:森口):逆に言うとヨーロッパだけなのかなとも思っています。昔はステーションワゴンの最大市場は間違いなくアメリカでした。ヨーロッパはスピードレンジがまだほかの地域に比べれば高いので、やはりワゴンの需要というのはある。ただ、世界的にほかの地域でステーションワゴンが伸びるというのは可能性としては難しいのではないでしょうか。

――確かにSUVの走行性能は上がりましたが、運転していると若干大掛かりな感じがあります。

西村:だからこそ「コンパクトSUV」というカテゴリーがあります。しかしそうすると積載性が「帯に短し襷に長し」です。そのときにステーションワゴンがいま一度見直される可能性もあるのではないでしょうか。ミニバンにもSUVにもいかないユーザーは一定数いる。背の高さに制約のある駐車場に停めているユーザーも少なくないでしょうが、ステーションワゴンは所有したときの感覚がやっぱりセダンに近い。SUVのように大きくて重い車を運転しているという感覚とは少し違います。

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