北朝鮮ナンバー2の失脚は自然な流れ? 「不正腐敗の撲滅」と「世代交代」に抗せなかった

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実際に2013年4月に労働党軽工業部長だった朴奉珠(パク・ポンジュ)を首相に任命した後、内閣の大臣級を交替させ世代交代を進めてきた。前出の鄭教授は「すでに2010年9月ごろから、全国の労働党幹部レベルの世代交代が進んでいた」と言う。

「各道と直轄市のトップとなる責任秘書を全面的に交替させ、その交替した幹部らの主導で中・下級党幹部の人事を行った。60歳以上の党員は名誉党員として現職から外し、代わりに20~30歳代の新進気鋭の党幹部がその席を占め始めている」(鄭教授)

世代交代で権力固めを図る金第1書記

彼らは今後、金第1書記と10年以上ともに働く幹部たちとなる。年齢とともに高齢の幹部は一線から去り、彼らが実権を担うようになる。となれば、金第1書記が党や軍に対する直轄体制が強化され、権力が彼に集中することになる。この動きは、金第1書記の権力基盤強化のためにも止まることはないだろう。

もし今回の幹部2人の公開処刑とナンバー2の失脚説が事実であるとすれば、その理由は上記のような流れの中で実行された可能性が高い。12月17日は故・金正日総書記の命日でもあり、何らかの行事が行われると考えられる。この場に、張成沢が出てくるかどうかによって、今回の失脚説の真偽を確認できるかもしれない(一部敬称略)

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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