40代男性が「カッコよくなる服」を考えてみた 42歳ライターがプロに服を選んでもらったら

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Maricoさんと女性編集者と3人で歩いて向かったのは、近くのショッピングモール内にある「ユニバーサルランゲージ」という全国展開をしているアパレルショップだった。高級な雰囲気だが、値札を見るとそれほど高くない。

お店に取り置かれていたのは、グレンチェックのウールジャケット、白いコーデュロイパンツ、こげ茶色のコーデュロイパンツ、赤いタートルネックセーター、ダンガリーシャツ、ニットのダブルベスト、水玉模様のポケットチーフの7点。正直言って、ポケットチーフ以外は筆者の好みではない。「老けて見えるのでは?」と心配になった。

着なれないチョイスに戸惑うものの…

試着してみても、やはりどこか居心地が悪い。鏡の目の前にいる自分はいつもの自分ではない気がする。しかし、試着室のカーテンを開けて外に出ると、Maricoさんだけでなく女性編集者が「うわー、すてき! すごく似合いますよ」と叫んでくれた。そ、そう? 中立の立場であり、(日頃あまりお世辞は言わない)率直な性格の女性からの賛辞なので、少しうれしくなった。

だんだん服に慣れ、立ち姿もキマってくる大宮さん(写真:編集部撮影)

調子に乗ってポーズを決めたりしていると、だんだんと目がなじんでくる。セーターのほうも着てみようかな。タートルネックはやぼったい印象があるので、いつもはVネックのセーターなんだけど。あれ? これは意外といいかもしれない。好きなマフィア映画の登場人物たちが休日に着ているみたいな雰囲気だ。

ここでようやく気がついた。筆者は42歳。社会では実績と責任を求められる年齢なのだ。許されるのではなく、許す側に立たなければならない。心のどこかで「オレはまだ若い。責任を負いたくない。許されていたい」という甘え心があり、必要以上に若く見える服装を選んでいたのかもしれない。

この大人っぽい服装が似合う男性になりたい――。そう思うと、自然と姿勢がよくなった。思いがけず褒められ、表情も緩んだ。

ウールジャケット、コーデュロイパンツ(白)、ダンガリーシャツ、ベストだけならば消費税別で71000円。ほぼ予算通りだ。でも、自分への投資だと思ってセーターとポケットチーフも購入(もちろん自腹)。丈直し代と郵送料も含めると10万円弱。不思議とお買い得感があった。今日からようやく40代にふさわしいファッションと立ち居振る舞いができる気がする。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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