「個室」をあえて作らない家に住むという選択

住まいに導入が進む新「脱LDK」とは一体何か

積水ハウスが2018年10月に発売した「イズ・ロイエ ファミリースイート」の内部の様子。従来の「LDK発想」から脱却し、家族がさまざまな形で過ごすことができる「新しいリビングのあり方」を提案したものだ(写真:積水ハウス提供)

家族の団らんと食事の場である「LDK」は、住まいの中で重要な位置を占める場所である。「2LDK」や「3LDK」などと表示され、住宅の間取りを表現する際にも使われている言葉だ。私たちの暮らしの中でなじみ深いLDKだが、今、住まいの提案において新たなムーブメントが起きていることをご存じだろうか。新「脱LDK」とも言うべきトレンドについて事例を紹介する。

LDKが住まいにおいて重要なのは、家族が最も多くの時間を過ごしたり、くつろいだりする場所だからだ。まず、改めて、その意味と誕生の経緯を確認しておこう。「L」=リビング(居間)、「D」=ダイニング(食事室)、「K」=キッチンだ。戦後、大量供給された公団住宅に標準採用された「DK」がその始まりである。

LDKは日本特有の表現

その後、「L」が加わることで、調理と食事とくつろぎ(団らん)の場が一体となり、今に至っている。民間が供給する戸建て住宅や分譲マンションにも採用され、広く普及していった。

ちなみに、ちょっと注意が必要な表現でもある。というのも、LDKは以上のような経緯により誕生した、日本固有の表現であるため、他国では通じない。賃貸住宅などを探す外国人には、「○LDK」という表現ではイメージしにくいだろう。

さて、戦前の住まいは寝食の空間が同じであることが当たり前だった。家族の数も多かった。そんな状態から戦後、核家族化の進展のほか、寝食が分離する空間での豊かな暮らしが庶民の憧れとなったことが、LDKの設計がわが国で広く受け入れられてきたことの背景にあると考えられる。

そこで、LDKが採用されていた初期の建物の事例を2つ紹介しておく。古い建物のためDKタイプである可能性もあるが、ここでは便宜的にLDKと表記する。

集合住宅では、民間分譲マンションとして日本で第1号(1956<昭和31>年竣工)とされる「四谷コーポラス」がそれにあたる。間取りは3LDKタイプなど(A型:LDK+和室3室+浴室など)となっていた。

今の時代でも希少であるメゾネットスタイルが採用されていたのも特徴の1つだ。また、民間事業者による管理や、割賦販売(住宅ローンの前段階)などが導入された、マンション販売の先駆けとなった建物でもある。

「セキスイハウスA型」の内部の様子。建築当初の仕様を残しており、国(文化庁)の有形文化財(建造物)に指定されている(写真:筆者撮影)

戸建てでは、国産工業化住宅の第1号とされる「セキスイハウスA型」にもLDKが採用されていた。1963(昭和38)年に竣工した建物が、長野県軽井沢町に残っており、現在も別荘として利用され続けている。

間取りは1LDK(LDKと和室、浴室など)で構成されている。筆者は実際に建物内に入ったことがあるが、その状態の良さに驚かされた(もちろん、メンテナンスを続けてきたオーナーさんの努力による部分が大きい)。

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