では、「デフレ経済は悪なのか」ということについて考えてみましょう。この10余年、デフレが続いて不景気を経験した日本からすれば、「デフレなんてとんでもない」ということになるのだと思いますが、実はデフレも決してそんなに悪いことではないのです。
株価上昇=好景気という図式が過去のものに
今のアメリカでは、国民の6人に1人が貧困層、3人に1人が貧困層および貧困層の予備軍といわれています。フードスタンプを受け取っている、貧困者世帯あるいはその予備軍といわれています。もし、シェール革命によって格安のエネルギーを使うことができるようになれば、ガソリン代も電気代も食料費も安くなるので、貧困層やその予備軍にとって生活は、かなり楽になるはずです。
特にアメリカという国は、ちょっとした移動にも自動車を使う国です。ガソリンは生活必需品であり、原油価格の上昇、下落が、生活レベルに直接、影響を及ぼします。現状、原油価格が高い水準にあり、それがアメリカ国民の生活レベルを圧迫していますから、逆に将来、原油価格の下落が進めば、生活レベルはどんどん楽になっていくと考えられます。
もちろん、エネルギー価格が下落すれば、食糧などの価格も下落していきますから、なお生活レベルは楽になっていきます。
その一方で、株価はこれまでのように上がらなくなるでしょう。前述したように、量的緩和の縮小が行なわれるわけですから、株価にとっては明らかにマイナス要因です。
ただ、「株価上昇=好景気」という図式は、エネルギー革命が進む中では、もはや過去のものと考えたほうがよいでしょう。おそらく、長い目で見れば株価が下落しても、エネルギー価格の下落によって物価全体が下落し、国民の生活レベルを下支えするという流れが当たり前になっていきます。
今のアメリカでは「インフレが善で、デフレは悪である」という見方が主流ですが、エネルギー革命が進むにつれて、そういった考えも通用しなくなります。そこではじめて、「デフレは決して悪くはない」という新常識が生まれてくるのではないでしょうか。
したがって、アメリカ経済を見るにあたっては、物価の下落は決して悪ではないという考えを頭の隅に持つようにしたほうがよいでしょう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら