FRBによる量的緩和が、2014年にも縮小に向けて動きはじめます。どのくらいの期間をかけて縮小させるのかはわかりませんが、金融をこのまま緩和し続けるというわけにはいきませんので、どこかの段階で必ず量的緩和の縮小を行なってきます。量的緩和の縮小というのは、FRBがこれまで刷りまくってきたお金を回収していく、ということを意味しています。そうなったときに注目したいのが、ETF市場(株価や金などの価格に連動して動く金融商品)への影響です。
ETF市場に大きな影響が及ぶ
ヘッジファンドなどの投機筋は、これまで量的緩和が継続するという見通しのもと、余ったお金によって金融商品の需要は底堅いと見て、レバレッジをかけてさまざまな金融商品に投資してきました。レバレッジというのは、外部からの借金によって投資元本を大きく膨らませ、より高い投資効率で大きなリターンを目指す投資法のことです。量的緩和によって、アメリカの金利水準は低く抑えられてきましたから、外部借入れを活用したレバレッジ投資法が、簡単に行なえる環境にあったのです。
ところが、量的緩和が縮小されると、金融商品への需要が減るのに加え、借入れの際の金利は上がり、レバレッジをかけた投資法は借入コストが重くのしかかってきます。そのため、投資ポジションも縮小していくしかなくなります。
これがETF市場に大きな影響を及ぼすのです。というのも、ヘッジファンドなどはレバレッジを最大限に効かせたうえで、原油や天然ガス、金や銀、アルミニウム、トウモロコシ、小麦、大豆などに連動するETFに投資しているからです。投資ポジションが縮小しなければならないとなれば、大量の資金が流れ込んでいた原油や天然ガス、金、銀、アルミニウム、トウモロコシ、小麦、大豆などのコモディティの価格が下落に転じることになるでしょう。なかには、価格が暴落するコモディティもあるのではないでしょうか。
将来的には、シェール革命によってアメリカでは、天然ガスだけでなく、原油の価格も大幅に下がっていくでしょう。その前に、量的緩和の縮小がETF市場を通じてコモディティの価格の下落を引き起こし、それがさらに現物の価格下落につながっていくのです。そう考えると、いつまでもインフレ経済が続くはずもなく、世界経済は徐々にデフレ経済へと向かっていく可能性が高いと思われるのです。
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