PTAが疲れるのは「日本だから」かもしれない 純粋に楽しむスペイン人たちとの差

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私がいまの学校でやった唯一のPTA的な仕事。学校行事「ワールフードフェスティバル」のときに日本料理を持っていきました。このときも強制ではなく自由参加だったのですが、楽しそうだったので、もう1人の日本人ママと家でそれぞれ作って持っていった料理です(著者撮影)

私は日本の保育園では委員の仕事をしたことがありますが、日本の小学校のPTA役員の経験はありません。そしていま息子が通っている学校は、学校自体が新しいのでPTAシステムがまだしっかり機能してないということもわかってきました。

そこで、バルセロナに住むママにPTA(スペインではAMPAという名称)事情についてさらにリサーチしてみました。

協力してくれたのは、スペインの公立校、公立と私立の中間のようなコンセルターダ、イギリスやフランスやイタリアなどインターナショナルスクールを含む私立校に通っているママたち。そんな幅広い学校の情報が集まったのに、ほとんどの学校が「PTAの参加は任意で自由」「役員は希望者がやる」「PTAに参加したくない人や役員をやりたくない人が無理やり押し付けられることはない」「でも誰かしら役員の希望者がいる」という状況でした。

さらに驚いたのは、PTAについて「楽しくやっている」「役員が生き生きと活動している」「ありがたくて重要な存在」というポジティブな意見が多かったことです。日本人の小学校に通う友人知人からネガティブワードを多く聞いてきたのとは対照的すぎて唖然…。

「海外の学校ではPTAの仕事自体が少ないからじゃないの?」そんな疑問を持つ人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。学費が高めな私立校の一部ではそういうこともあるのですが、ほとんどの学校では仕事内容はかなり多岐にわたるようなのです。

主な仕事としては、イベントの企画運営、父母と学校の仲介役、制服のリサイクル活動、アフタースクールクラスの運営(こちらでは日本の学童にあたるものがない代わりに、各学校で放課後に日替わりの部活のようなクラスがある。生徒は別料金で自由参加。クラス内容が多岐にわたり金額も手頃なので、これを習い事代わりにする家庭も多い。先生は外部から呼ぶ。そういった仕組みのため、このクオリティーはPTAの力にかなり左右される。親向けの部活動を行う学校もある)、学校備品の販売、経理作業、チャリティー活動、などなど……。こちらの学校は入学式や卒業式や始業式や運動会などの行事自体がない(もしくはあってもかなり軽め)ので、それにまつわる仕事こそないものの、かなりの仕事量です。

それなのになぜちゃんと立候補者がいて、しかも楽しそうにやっているのでしょうか?

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