地方でも大量出店始めた「エニタイム」の自信

24時間ジム旋風で変わるフィットネス業界①

たとえば、熊本県では昨年7月に1号店を直営で熊本市内に出した。前年に熊本地震があって、そうとう苦戦することも覚悟していたが、オープン月だけで約1000人もの会員が集まった。その約2カ月後、近くに出した2号店もすぐに1000人集まった。12月中旬には熊本で5店目がオープンする。

今、こうした地方での大量出店が当社の急成長を引っ張っている。大事なのは先にマーケットを押さえること。われわれが今のペースで地方でも地盤を固めたら、他社はもう出てこられないだろう。

ーーエニタイムはアメリカで成功した業態ですが、それをそのまま日本に持ち込んだのですか。

コンセプトはもちろん、セキュリティの仕組みなどもすべてアメリカと同じです。ただ、水回りだけは意図的に変えた。アメリカのエニタイムはトイレやシャワーが男女兼用なんですよ。さすがに日本でそれはまずいだろうということで、男女別々にした。

ーー会員構成の特徴を教えてください。

土屋敦之(つちや・あつゆき)/1991年大学卒業後、野村不動産に入社し、後に志願して新規のフィットネスクラブ「メガロス」事業に従事。退社後にメガロス時代の元上司らに誘われ、Fast Fitness Japanで24時間ジム「エニタイムフィットネス」の国内展開に携わる。2017年に社長就任(撮影:風間仁一郎)

どの店舗も判を押したように顧客層が同じで、男女の比率は7対3。年齢で言えば、20~40代が80%以上を占め、若い世代が圧倒的に多い。また、全体の約半数がスポーツクラブやジムに初めて通う初心者で、もう半数の多くは総合型に以前入会したけれど、何らかの理由で退会された人たちです。

ーー必ずしも総合型の現役会員を奪っているだけじゃない?

ええ、違いますね。そういう人も当然いるが、大半は運動したいけど総合型への入会をためらっていた人や、過去に総合型を退会された人。そういう人たちが、家の近くにエニタイムができて、じゃあ通ってみるかと。つまり、24時間ジムが運動人口の増加につながっているわけで、新しい市場を創出したと自負している。

人気の背景に総合型への不満

ーー最初から成功する自信はあったのですか。

業界では「マシンだけ置いて会員が集まるわけがない」と言われたが、成功する可能性はあると思っていた。いちばんの根拠は価格です。

当時いろいろなアンケート調査を見ると、みなさん運動はしたいと考えているのに、「フィトネスクラブは会費が高すぎるので入会しない」という回答が非常に多かった。だったら、料金設定を下げて、プライスギャップを埋めたら会員が集まるのではないかと。結果はごらんのとおりです。

ーーなぜ20~40代に支持されたと分析していますか。

20~40代は仕事や付き合いでいちばん忙しい世代。しかし、従来の総合型は大半が夜11時までに閉館するし、仕事帰りの夜間や土日にも利用できる標準会員になったら、1万円以上の月会費を取られる。

シニアの多くは昼間の会員で会費が安いが、夜しか通えない20~40代の人たちは、一番高い会費を払わされている世代でもあるんですよ。そうした総合型の料金設定や使い勝手に対する不満があって、24時間ジムがその受け皿になっているのだと思う。

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