地方でも大量出店始めた「エニタイム」の自信 24時間ジム旋風で変わるフィットネス業界①
ーー開業する際の初期投資額や標準的な収益モデルを教えてください。
エニタイムは世界トップランドのマシン設備を使っているので、それがおよそ2000万円ぐらいして、内装工事費が大きめの100坪なら3500万~4000万円。さらに敷金・保証金や物件仲介手数料、FC加盟金などを積み上げていくと、開業時にかかる費用は8000万円から1億円近くになる。
一方、損益分岐点は会員数で400~500人だが、今の1店舗当たりの平均在籍会員数は約850人で、損益分岐点を大幅に超えている。月会員費7000円として、月の売上高が約600万円。人件費や本部に支払う諸費用、家賃などを差し引いても店舗段階で毎月200万円以上の営業利益が出て、初期投資を4年かからずに回収できる計算です。
商売として考えれば、これほど収益性の高い事業はめったにない。出した店舗が実際にうまく回っているから、どのFCも出店意欲がものすごく強い。みんなやる気満々で、今は本部が「行くぞ!」と掛け声をかけたら、FCが一斉に「オッー」と手を挙げるような状態です。
トップシェア維持し、1000店目指す
ーー24時間ジムは参入障壁が低く、新規参入組が後を絶ちません。同じような24時間ジムがあちこちにできて、かなり競争が激しくなりそうです。
過当競争と言われるコンビニを見ても、1店舗当たりの日販は市場を作ったセブンーイレブンが図抜けている。同じように24時間ジムではエニタイムが市場のパイオニアで、ブランド力はいちばん高いと思う。楽に勝ち残れるとは考えていないが、「エニタイムがいちばんかっこいい」と思ってもらえるよう、これまで以上に店舗の質にこだわりたい。
また、シェア、店舗数でもトップの座を絶対に守り抜く。24時間ジムの業態は全国で1000店以上にまで増えたが、この調子でいけば、最大で2000店ぐらいの市場になると思う。そのうちエニタイムだけで半分の1000店を目指したい。
ーー後発組への対抗策として、会費を下げる考えは?
戦略としてはありだと思うが、現時点ではまったく考えていない。価格を下げるということは、自分たちの提供しているサービスの価値を下げるということ。今の水準でも総合型と比較すれば十分安い。価格を下げて失敗した企業は世の中にたくさんある。今の会費を下げるぐらいだったら、多少会員が減っても我慢したほうがいい。
ーー土屋さんは以前、野村不動産グループの総合フィットネスクラブ「メガロス」の運営にも携わりました。総合型の現状をどう見ていますか。
大きな施設を作って、大量の会員を集めるのが総合型のビジネスモデル。しかし、最近はどこも都市部に従来のような大きな新店を出せなくなった。それがすべてを表していると思う。地価や施工費が高騰し、新店に必要な投資額が跳ね上がっている。しかも、重い固定費を覚悟して出したところで、昔みたいには会員が集まらない。
ーー同じ24時間ジム業態で脅威になりそうな会社は?
どのライバルがというよりも、われわれの関心は、出店に適した好立地が今後もあるかどうか。新規参入組がどんどん増え、最近はほかの24時間ジムと場所の確保で競合するケースが増えている。いくらFCに出店意欲があっても、いい場所がなければ店は出せない。すごく高い金額で物件を押さえに来る競合他社もいて、びっくりすることもある。
あと懸念としては、異業種からの参入組ですね。フィットネス業界で食べてきた会社は専門知識があるのでまだいいんですよ。何の知識もないのに、「トレーニングマシンを置いて、24時間営業にしときゃ儲かるらしいぞ」と、安易な考えで異業種から入ってくる企業がたくさんある。そんな店舗で何か大きな問題が起きたら、24時間ジムそのものに対する不安が広まりかねない。そこがすごく心配だし、非常に懸念している点です。
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