「高3自死事件」遺族が国と面談を望んだ理由

日本バレーボール協会も異例の対応に動いた

遺族の訴えに、鈴木大地スポーツ庁長官をはじめ国は今度どう対応していくのか(写真:筆者撮影)

「自分の関わった競技で子どもが自分で命を絶つなんて……。本当に申し訳ない……」

岩手県立不来方高校(紫波郡矢巾町)男子バレーボール部3年の新谷翼さん(当時17)が7月に自死した問題。遺族に文書で面会を求められた日本バレーボール協会専務理事の八田茂さん(61)は、筆者の取材で涙をにじませた。

サッカーJリーグのキャリアサポートセンター長や日本オリンピック委員会(JOC)のキャリアアカデミー責任者を歴任。昨年8月に協会外部から初めて専務理事に登用された。サッカーをはじめスポーツの強化育成に関わってきただけに、無念さが込み上げたのだろう。

バレーボール協会専務理事が異例の面会

「第三者委員会の結果は出ていないからといって当該競技に関係する私たちが知らん顔はできない。まずは遺族の気持ちを考えるのが人間としての筋だと思う。こちらに来ていただくのでは申し訳ない。こちらからご焼香に伺いたい」と面会の意思を示した。

過去記事でも報じたとおり、翼さんは「ミスをしたらいちばん怒られ、必要ない、使えないと言われました」などと、顧問から受けた暴言の詳細を記した遺書を残していた。さらに岩手県教育委員会が実施した調査でも、「おまえのせいで負けた」などと顧問からなじられていたことを一部生徒が証言している。

これらの事実から、父親である聡(さとる)さん(51)は、顧問の男性教師(41)による間違った指導が自死の原因だと主張しているが、学校や顧問は認めていない。

また、前任の盛岡一高での暴力を元生徒に訴えられ係争中だったこの教師を顧問に置いた学校や県教育委員会の責任も問うているが、今もって第三者委員会の立ち上げさえメドが立たない。当時を知る翼さんの同級生たちが来春卒業してしまえば、調査は難航しかねない。このため遺族は11月16日付で、教師に対し刑事告訴を行った。

部活の現場における生徒へのパワハラは、この岩手の案件だけではない。10月には松本国際高校(長野県松本市)の男子バレー部監督(62)が、部員への暴力を含めたパワハラを認め辞任した。前任の岡谷工業高校で全国制覇の実績を持つ指導者だったが、暴力に頼る指導を継続させていたのだ。亡くなった翼さんは18歳以下のバレー日本代表候補だったが、松本国際にも日の丸をつける選手がいる。

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