あとは、また動物がいろいろ出てくるはずなので楽しみです。5作までの筋がわかっていればうれしいんですけどね。残念ながらまだ2作目のあらすじさえわからない。登場人物はもう発表されていますから、こういう登場人物で何が展開するんだろうという想像はできますけどね。
――書籍の「ハリー・ポッター」シリーズは7巻あり、映画版も8本作られました。一方、映画「『ファンタスティック・ビースト』」シリーズは、5作品作られることが当初から発表されていましたが、新シリーズが始まると聞いたとき、どんな感想を持ちましたか。
あと5年は生きなきゃいけないと思いましたね(笑)。でも「ハリー・ポッター」のときも、本当は7年で終わるはずが、結局10年かかっているんですよ。「ハリー・ポッター」が出ない年は、出版界全体の売り上げが落ちるほどのブームでしたからね。
私自身は(「ハリー・ポッター」シリーズの)第7巻の翻訳が終わったら引退だと思っていたんです。でもそのすぐあとに『吟遊詩人ビードルの物語』(「ハリー・ポッター」シリーズの第7巻に登場する童話)の出版があって。これが7巻目と同年に刊行されて、休む間もなく翻訳しました。その後もしばらくは、関連の仕事が続きました。
ここまではずっと離れずに「ハリー・ポッター」の世界に浸ったままでいたんです。それから後は完全にお休みかと思っていたら、今度は『ハリー・ポッターと呪いの子』という舞台があって。その舞台脚本も出しました。そしてその後にこの映画ですから、切れ目を感じないままできました。でも嫌ではないです。この世界は好きですから。
次から次へと読みたくなる気持ちにさせてくれる
――松岡さんは「ハリー・ポッター」のどこがお好きなのですか。
私は物語から入った人間なので、映画とはまた違った感激がありました。そもそもこんな物語は読んだことがなかったです。クリエイティブな物語でありながら、描かれているのは、まったく人間の世界なんですよ。
魔法使いと言っても、人間の喜怒哀楽が出てきて、本当にホロリともさせられるし。なるほどと思えることもある。ローリングさんって本当に頭の良い人だなと思います。物語の世界が非常に目新しくて、私も相当本を読んできた人間でしたが、それでもこれまで見たことがない世界が広がっていました。
それとユーモアのセンスが全体に感じられて、読んでいて飽きないんですよね。展開も早くて、ページをめくるのがもどかしいくらいに、次から次へと読みたくなる。1章終わるたびに次の章が読みたい。1巻終わるたびに次の巻が読みたいという気持ちにさせてくれます。
物語の展開が楽しかっただけでなく、決して中だるみのないピーンと張り詰めた魔法の世界がありました。ほかには考えられないような、濃密な10年間を過ごさせてもらいました。翻訳は大変だったですが、楽しかったです。
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