世界最高齢83歳プログラマーが現役のワケ 人生100年時代、セルフラーニングのすすめ

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ただ学びたいという気持ちが起こったときには、迷わないでまず始めてみることです。失敗するとか恐れる必要もありません。失敗しても企業ではないのだから、"会社更生法"なんか適用されないのです。

プログラミングやゲームアプリ開発、エクセルでのデザインアート(画像参照)も、パソコンさえあれば誰でもすぐに学び始めることができます。「ソフトもただでダウンロードできるし、失敗しても誰にも迷惑かからないし……」と考えて気軽に始めていたら、私の場合、SNSで知り合った人の中から、教えてくれる人が出てきたのです。

幼い頃からクラシック音楽が好きで、75歳から始めたピアノでは、今やもう両手でピアノを弾けるようになりました。

失敗してもやり直せばいいのです。気が向かなくなったらいったん辞めて、やりたい気持ちが起こるまで何年も待てばいいだけのことです。

『徒然草』は「カッコつけないで学べ」と教えてくれる

何かを学ぼうと思った人に対しては「カッコつけるな」ということを伝えたいと思います。

若宮正子(わかみや まさこ)/1935年生まれ。銀行を定年退職後に、パソコンを独学で始める。シニア世代向けネット上の高齢者クラブ「メロウ倶楽部」創設メンバーの1人。81歳でiPhoneアプリ「hinadan」を開発し、アップル開発者向けイベントにAppleのティム・クックCEOから特別招待される。2018年2月には米ニューヨークで国際連合の事務局が主催する会議に招かれ、シニア層によるデジタル技術活用について、英語で基調講演した。日本政府の「人生100年時代構想会議」の有識者メンバーにも選ばれている(筆者撮影)

よくありがちなのが、英語や音楽などを習おうと思ったときに、「恥ずかしいから、ある程度勉強してから習いに行こう」という気持ちになることです。

ですが、それで本当にうまくなった人を私は見たことがありません。何にもできなくてわからなくて笑われてもいいから、ひたすら無心で学び続ける人の上達のほうが早いのです。カッコつけている人はいつまで経っても成長しません。

かの吉田兼好も徒然草の第150段の中で、「能をつかんとする人、『よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ』と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし」と書いています。

その意味は、「これから芸を身に付けようとする人が、『下手くそなうちは、人に見られたら恥だ。人知れず猛特訓して上達してから芸を披露するのが格好良い』などと、よく勘違いしがちだ。こんなことを言う人が芸を身に付けたためしは何一つとしてない」ということで、古今を通じて普遍的な真実なのでしょう。

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