82歳プログラマーが懸念する「シニアの危機」 IoT時代は「デジタルが苦手」で済まされない
「リケジョ」ならぬ「リケロウ」を増やす
――リカレント教育の大切さを訴えています。
今、「人生100年時代」なんて言われて、寿命が延びています。私が若い頃は、戦争や結核などの病気で亡くなる若い人も多かったけど、そうしたケースも減りました。そんな時代の大人、特に高齢者にとっては、子ども時代の義務教育で習ったことなんて、すでに古びてしまっており“減価償却済み”です。学び直しをしないと時代についていけません。
――何を学び直すべきでしょうか。
シニア層に対しては理科教育に重点を置いて、「リケジョ」ならぬ「リケロウ」を増やすべきと思っています。というのも、私たちの年代は特に理科の力が非常に低い。実は子ども時代にもきちんと習っていないからなんです。
たとえば、乾電池が液漏れして手にかかってしまったとき、台所の酢をかければいいというのは「年寄りの智恵」だといわれています。ただ、それは「年寄りの智恵」でも何でもなく、乾電池の液がアルカリ性で、酢が酸性なので、かければ中和できるということ。そういう理論的な裏付けについて、われわれシニアは習っておらず、知らない人が多いのです。
理科をきちんと習っていない理由は2つあります。1つは、私たちが小学生だった時代は戦争中で、学校でも理科をじっくりと教える余裕がなかったこと。それから、当時は家庭でも裸電球が灯って喜んでいたような時代。とてもではないけど、その電気が直流か交流かといった知識まで、じっくり学んで身に付けるという状況ではありませんでした。
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