不登校児を救い「若者をつなげる」支援の裏側 否定せずに1人の人間として大人がかかわる
堀:実際に同じ経験を持っていて、同じ目線で語ってくれる大人がいるというのはいいですね。
今井:そうですね。同じ目線というより、否定せずにかかわる、年齢にこだわらずに一人の大人としてかかわるというのが「認定NPO法人D×P」の基本姿勢として大切なので、それに共感してくれるメンバーを求めています。
堀:「一人の大人としてかかわる」というのはどういう意味ですか?
今井:「一人の人間として」の方が正しいかもしれないですね。生徒たちが、寝てしまうなど、いわゆる社会通念上は失礼だとされている態度でいるときに、それを「非常識だ」といって否定せず、まずは受け入れられるか。自分の経験や状況を本音で語れるか、というのは大切だと思います。
意欲を向上させていくまでにかかる時間は?
堀:関係を築いて、心を開いて、意欲を向上させていくまでに、1人当たりのどれくらい時間かかるのでしょうか?
今井:最低でも4回の授業があるのですが、生徒と深い話をする中で、4回の授業でも人とのかかわりを作れます。
堀:4回の中で話せるようになると言うのは、似たバックグラウンドを持った大人が自分の体験を披露しながら生徒と向き合うからなんでしょうか?
今井:必ずしも似ている必要はありません。僕が授業に出た際に出会った生徒は、1回目の授業では寝ていて、ずっと僕のことを「お前なんかいらん」と言っていました。しかし、2、3回目になって「授業がおもしろそうだ」と参加してくれて、4回目には悩んでいることや今後の方向性を語ってくれたということがありました。