不登校児を救い「若者をつなげる」支援の裏側 否定せずに1人の人間として大人がかかわる

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:未来の選択肢を広げる体験を用意するというのは、いいですね。日常の限られた空間にいたら想像がつかないですよね。

今井:そうですね。「認定NPO法人D×P」が強いのは、学校のカリキュラムの中で授業を持っていることです。なかなか会えない高校中退や不登校の子たちと、授業を通して2カ月間かけて関係性が築ける。そこで出会った子どもたちを海外に連れて行ったり、プログラミングキャンプに連れて行ったり。

:逆に、うまくいかないケースはありますか?

今井:かかわりたくても授業に参加していないこともあります。1割くらいの生徒が欠席するため、その場合関係性をつくることができません。ほかのアプローチ方法を考えなければいけないと思っています。また、高校中退を考えている生徒は、個人情報保護の観点でアプローチできない。学校の中にいてもアプローチできない子がまだまだいます。

同じ経験を持つ大人が、「否定せず」かかわる

:細かいニーズに対応していくには人材確保も必要になってくると思いますが、「認定NPO法人D×P」ではその点はどうしているのでしょうか?

今井:民間企業から移ってくる人もいます。ボランティアを経験した後に正職員になったり、副業で勤務していたり、インターンだったり。現在、全体で34人。そのうち正社員が8人で、それ以外はインターンのメンバーです。SNSを通してボランティアで参加して、そこからインターンになっているケースも多いです。

約250人いるボランティアの3〜4割が高校中退、不登校、鬱など、生徒と同じ経験をしている(写真:Yusuke Kida ©︎認定NPO法人D×P)

:どういうモチベーションで応募して来られるのでしょうか?

今井:約250人いるボランティアの中で、7〜8割が社会人です。そして、3〜4割が高校中退、不登校、鬱など、生徒と同じ経験しています。「高校生や学校現場にかかわりたい」、もしくは「自分の経験を役立てたい」という方が多いですね。

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