不登校児を救い「若者をつなげる」支援の裏側 否定せずに1人の人間として大人がかかわる
堀:仕事のイメージがついた後、次のステージに上がっていくために、どういう方策を取られていらっしゃいますか?
今井:生徒の趣味ベース、特性ベースで動くことが多いですね。最近では、生徒たちをどんどんゲームの会社に就職させています。また、発達障害などの障害がある子であれば、あんまり人とかかわれないなどのその子に特性に合わせて、清掃業の就職につなげたこともありました。その手前として、インターンシップはすごく重要視しています。生徒を海外に送るなど体験を重視し、今まで見たことのない世界や大人と会う機会を大切にしています。
堀:今までどういう体験の場に送り出してきたのでしょうか?
今井:現在、年間に20人ほど海外に送り出しています。それはすべて寄付で行っています。たとえば、フィリピン、韓国、台湾、カンボジアなど、アジアの国々でのスタディツアーに送ることが多いです。経済的に厳しい家庭の子ばかりを対象にしており、チャレンジしたくてもなかなかできなかった子たちを全国から募集し、選抜しています。「World Challenge募金」を通して行っています。
すべてのケースでうまくいくわけではないけれど
堀:その体験が、彼らの未来に何を与えると思っていらっしゃいますか?
今井:僕らが支援しているケースがすべてうまくいくわけではありません。ただ、先日フィリピンに発った子は、「国際交流NGOピースボート」で船旅をした後、フィリピンの大学に進学することを決めました。自分ですべて手続きしたのですが、今はその後の未来がすごく楽しみです。
「大学進学しよう」と思うきっかけになったということはよく聞きます。「自分も努力してみよう」と思い進路が変わった子は多いです。いちばんうれしかったケースで言うと、障害者施設で働くしかないと大学に行くのをあきらめたていた聴覚障害の子がいました。しかし、海外に送ったことで教員になると決意し、大学に進学しました。進路を変えた事例としては大きかったです。