不登校児を救い「若者をつなげる」支援の裏側 否定せずに1人の人間として大人がかかわる

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今井:そうですね。教育委員会や学校の先生方は非常に頑張っておられますが、細かくやろうと思ったらすべてに対応しきれないので、僕たちが寄付を集めてやっています。「認定NPO法人D×P」のような支援団体がないので、定時制高校など、学校からの問い合わせも激しいです。(東京ではまだ活動をしていないのですが、)今日も東京の3〜4校から問い合わせがきました。

以前は厚生労働省の機関「サポートステーション」があり、「認定NPO法人D×P」も1年ほど民間受託を受けていたのですが、その予算は消えてしまいました。なかなか定時制、通信制にサポートしている機関がないという実態は大きいと思います。

さらに言うと、就職支援だけでなく、関係性づくりから行っているところもなかなかないと思います。「LINE@」で生徒からの相談に乗っているのですが、相当の数の相談が寄せられています。

:どのような内容の相談が来るのでしょうか?

今井:本人からの相談しか受け付けていないのですが、「不登校になって困っています」とか、「通信制高校にいるんですけど、将来が不安でどうしたらいいかわかりません」とか。「スキルを身に付けたいんですけど、どうしたらいいですか?」というポジティブな悩みもあります。

:それぞれいろんな悩みがあるから、細かく対応してくれる窓口が必要ですよね。

一人ひとりの趣味や特性をベースに進路を考える

:「認定NPO法人D×P」ではつながる場といきるシゴトを作る支援をしていますが、あらためてその目的を教えてください。自分自身で未来をデザインできる子がいる一方で、なかなか自力では見いだせない子もいる。何が原因だと考えますか?

今井:「頼れる人がいない」というのは、しんどい生徒にとっては大きいです。大人のことを信用できる環境がなかったり、親との関係性が悪かったり。今まで周りから否定されてきたので、誰とも話したくないと。なので、僕たちとしてはまず、居場所を作って信頼関係を築いて相談に乗るということをしています。

:生徒と向き合うときには、具体的にどういう形で向き合ってコミュニケーションを取り、モチベーション上げていくんですか?

今井:モチベーションは、実は本人の中に埋まっています。たとえば、「仕事したくない」という子に対して、否定せずにかかわります。「やりたいことは何ですか」と聞くのではなく、「23歳の時にどういうふうになっているイメージ?」と聞くと、「子どもがいて」ということが出てきて。そしたら、趣味などの話ができるようになってきて。「家族のことがあるなら仕事しないといけないってことだよね」と聞くと、「うん」と。こうしたコミュニケーションから、職場見学、インターン、アルバイト、正社員にまでつなげていくという感じです。

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