脳を活性化する「ライフキネティック」の凄み ドイツ発祥の手法はアスリート以外も役立つ
「ライフキネティックを学んでいくうちに、より多くの人たちに知ってもらって、それを活用してほしいと思うようになりましたね。スポーツだったら競技力向上のために、高齢化が進む社会では、認知機能低下予防・介護予防を目的としてトレーニングを取り入れてほしいなって」(深井氏)
アンバサダー就任後は、チームのスクールでトレーニングを実施し、各地方に赴いて定期的に体験会を開催するようになった。最近では、一般企業からも「ライフキネティックを教えてほしい」と依頼がくるようになったそうだ。
「ライフキネティックの魅力は、誰でも楽しく、簡単にできるところ。
企業内での体験会では、普段顔を合わせない他部署の初対面の社員も多く集まるのですが、トレーニングをしていくうちにすごく仲良くなるんです。体験会では毎回、その場はすごく和んで、笑顔が絶えない空間になりますね」(深井氏)
トレーニングそのものも、実際にやってみるとまったく難しくない。体験会でよく行われるのは、赤・青・黄色の3色のボールを使ったトレーニングだ。参加者数名で輪を作り、はじめは赤いボール1つを使って適当に投げて渡していく。その際、「〇〇です」と自分の名前を言いながら投げるのがルールだ。
ある程度時間が経ったら、次に黄色いボールを投入。黄色の場合は、“投げる相手”の名前を言いながら渡すことが条件となる。最後に追加する青いボールは“次に投げてほしい人の名前”を言いながら渡さなくてはならないため、3色のボールが目まぐるしく飛び交うと、何を言えばわからなくなってしまい、脳が混乱してしまう。
だが、それがこのトレーニングのミソだ。
自分の目で見てボールの色を認識し、その指示が何だったかを思い出して相手に投げる、という動作を同時に行うことで、脳を最大限に活用することができる。それを何度も繰り返していくことで、認知機能や視覚機能を高めることができるのだという。
眠れるパフォーマンスを引き出す視野拡大の重要性
ライフキネティックの考え方としては、そのトレーニングにおいて2つ以上の比較的単純な運動・思考を同時に行うことを基本としている。
サッカーの練習に置き換えると、足で蹴ってドリブルをしながら、手でもバスケのドリブルをしたり。あるいはリフティングをしながらお手玉をするなど、応用の仕方によってはあらゆる競技に合ったトレーニングが生み出される。
深井氏も、トレーニングを作る際は必ずテーマを決め、さまざまなサッカー要素を取り入れているという。
「特にライフキネティックの練習でテーマとして掲げているのは“つねに上体を上げてドリブルをできるようにする”ということ。ドリブルって、走りながらボールを扱って、周りを見ながらいろんなことを考えないといけない。普通に考えたら、サッカーってすごく難しい。
初心者や子どもたちなら、なおさら下を向いてボールを見ないとドリブルできません。だからドリブルをしながら何かほかの動きをする、というトレーニングはつねに取り入れています」(深井氏)
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