超簡単!辛口・夏井先生と学ぶ「俳句ドリル」 「レディー・ガガ」から「下痢」まで自由自在

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俳句の型 その3 下五の体言止め

岸本:下五の体言止めは「五月雨をあつめて早し最上川」など、芭蕉の句にも多く見られます。俳句らしい、安定感のある形です。次の句の下五を体言止めで埋めてみましょう。

お題 「踊髪よべのまゝなる○○○○○」

「踊」は盆踊りのことで秋(初秋)の季語です。「踊髪」は盆踊りのために結った髪、「よべ」は昨夜で、「踊髪よべのまゝなる」はとは、盆踊りの翌日、前の晩に盆踊りを踊ったときの髪型のままでいる、という意味です。

現代風に置き換えてみるともっと面白い

元の句は「踊髪よべのまゝなる選炭婦 房山」です。作者は筑前の人で1929(昭和4)年の作。選炭婦とは炭鉱で石炭の選別を行う婦人労働者で若い女性が多かったそうです。炭鉱の厳しい環境で働く女性が、年に一度の盆踊りを楽しみにしていたことが想像できます。

(解答問答)

岸本:昨夜の盆踊りのためにきれいに結った「踊髪」がそのまま朝になってしまったという場面を想像するのですが、下五は「朝の道」や「村娘」より、もっと飛躍ができるんじゃないかと思います。「熱帯魚」でも面白いかもしれませんね。季重なりだけど。

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夏井:「踊髪よべのまゝなる熱帯魚」はすごい。

岸本:「熱帯魚」は夏の季語です。すると踊髪も盆踊りじゃなくて、クラブで踊ってたとかね。

夏井:下五に季語を入れない形のほうが、読んでいる人は納得ができると思うんです。まずは「踊髪」が季語ですから、今どきの情景で「踊髪」が「よべのまゝなる」何か。

岸本:「踊髪よべのまゝなる歌舞伎町」とか。

夏井:確かに、場所もありますね。

岸本:「踊髪よべのまゝなるおばあさん」もあるね。

夏井:老いらくの恋、すごい。「レディー・ガガ」もいけますね(笑)。

解答例
熱帯魚 朝の道 村娘
踊髪よべのまゝなる熱帯魚
踊髪よべのまゝなる朝の道
踊髪よべのまゝなる村娘

いかがでしたでしょうか。ここに紹介した型は、基本中の基本。ぜひ、さまざまな俳句を作って、楽しんでみてください。

岸本 尚毅 俳人

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きしもと なおき / Naoki Kishimoto

1961年、岡山県生まれ。俳人。中学時代から俳句を始め、初学時代は「渦」(主宰赤尾兜子)に投句。兜子逝去後、「青」(主宰波多野爽波)入会。「ゆう」「屋根」を経て、現在「天為」「秀」同人。1991年「青」同人賞、1993年句集『舜』で第16回俳人協会新人賞、2009年『俳句の力学』で第23回俳人協会評論新人賞、2012年『高浜虚子俳句の力』で第26回俳人協会評論賞を受賞。角川俳句賞、田中裕明賞、星野立子新人賞、石田波郷新人賞などの選考委員を務める。NHK俳句選者(2018・2021年度)。「岩手日報」「山陽新聞」俳句欄選者。

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夏井いつき 俳人

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なつい いつき / Itsuki Natsui

1957年、愛媛県生まれ。俳人。8年間の中学校国語教諭経験を経て俳人に転身。俳句集団「いつき組」組長。創作執筆に加え、俳句の指導にも力を注ぎ、俳句の授業「句会ライブ」、全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設にかかわり、「俳句の種まき」活動を積極的に行う。「プレバト!!」(MBS/TBS系)をはじめ、テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・webなどの各メディアで活躍。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」選者、「朝日新聞」愛媛俳壇選者、「愛媛新聞日曜版」小中学生俳句欄選者。2015年より俳都松山大使。

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