活況の物流施設、プロロジスは積極投資を継続 モガダムCEOと日本法人・山田社長に聞く

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――開発コスト上がっているが、それをたとえば賃料に転嫁する考えはあるか。

山田 転嫁できると助かるのだが、なかなかそうもいかないというのが現状。「コストがいくらですから、賃料はいくらにします」とお願いするのはなかなか難しい話だ。賃料というのはあくまで相場で決まるからだ。

ただ、今後は地価があがってくる、建設コストが上がってくる。このことはわれわれのお客様である物流企業自身も、自ら投資することもあるため肌で感じていると思う。そのため、徐々にこうしたこと(賃料引き上げ)が受け入れられてくるのではないか。新規の案件についてはある程度賃料を払って上げないといけないだろうなぁ、という理解が進むことが一番望ましいと思う。アベノミクスの効果やインフレによって、なんとなくセンチメントとして物価が上がっているので賃料があがるのも仕方ないとなるのが一番望ましい姿だ。

よってわれわれが行えることは、まずコストを上げないような仕組みを考えるのが一つ。それから、賃料というのは需要と供給の関係で決まるので、あまり供給の多いところにあえて出て行かないようにするのも重要。と同時に、新たに市場を自ら作っていく必要がある。

一方、世界に目を転じると世界的に賃料が上がっている状態の中で、日本では2%程度のリターンを上げられると本社サイドは見ているようなので、われわれ日本法人としても2~3%をあげることを目標として、いろいろな努力をしていきたい。

日本の施設は最新鋭

――日本の施設というのはマルチテナントを中心に高品位、先進的だと見られているが、実際に日本発の施設の仕様などは世界的に展開可能なのか。

モガダム 日本の施設の技術的な精度の高さは、世界基準に照らしても最新鋭であることは間違いない。特に複数フロアを持つ施設の開発・運営の技術については群を抜いており、これはほかの国々にも応用できるのではないかと考えている。世界でもたとえば、人口密度が高く、土地が限られているような地域に有用ではないかと考えている。

日本はまた、環境によりよい素材を活用する、あるいは再生可能エネルギーを使うといった「グリーン開発」についても世界において先行している。繰り返しになるが、物流施設における技術的な面では、日本は最先端であり、日本で発展した技術が今後、世界で活用される余地は大いにある。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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