活況の物流施設、プロロジスは積極投資を継続 モガダムCEOと日本法人・山田社長に聞く
――今後の新規開発についてはどの程度の投資額を考えているのか。
山田 年間に世界で2500億ドル程度の投資を続けていく考えで、そのうちの4分の1、つまり500億~600億円程度を日本が担うという考えでやっている。通常は年間400億~500億円とちょっと少なめにいっているが、キャパシティとしては過去に1年で1000億ドルの開発も行ったことがあるし、700億~800億円程度は可能と考えている。
ただ、こういう時期ではあるので、慎重に土地を選んでいく必要がある。2013年にできあがったプロロジスパーク習志野のようなBTS型(=1社専用施設、スタートトゥデイ専用)や、プレリースであらかじめお客さんを決めておき、竣工したらすぐに稼働するような形にしていきたい。400億~600億円と想定レンジはやや広いが、それぐらいの規模の投資を考えている。
消費の活性化を予想
――東京オリンピック開催が決まったことによる物流施設業界への影響はあるか。
山田 オリンピック開催の影響は間違いなくあると思う。気分的にも明るくなって、今後消費が活発化することが予想され、消費が活発になれば、物流施設の需要というのは増えてくる。それとは別に、今後まだネット通販の成長によって最新鋭の物流施設の需要は出てくる。また、五輪の影響なのかはわからないが、今後はたとえば圏央道などインフラへの投資がもう少し前倒しになるとも聞いているので、それはわれわれにとって非常にいい話だと考えている。
一方、建設コストが上昇するという懸念もあるが、建設業界の皆さんに聞くと、五輪の直接的な影響はそれほど大きくない。五輪による経済効果は3兆~5兆円と捉えているが、これは今から7年間の話でそんなに建設コストを押し上げるような仕事が出てくることではないということなので、そこはあまり心配していない。
――グローバル市場から見た日本の優位性や特性をどう見ているか。
モガダン 日本は非常に私たちにとっては非常に重要な市場である。米国に次いで事業規模的にもマージン的にも大きな市場だ。さらに、過去10年間を見ても私たちにとって、恒常的にもっとも多くの利益を稼ぐ市場といえる。開発の規模においても、もっとも貢献している。
理由はいくつかあるが、一つは日本チームが優秀なことがある。日本の物流施設として、われわれはパイオニアであり、この市場をリードしてきた。もう一つは日本特有のダイナミクスがある。非常に経済規模が大きく、多様性のある経済に加えて、現在小売りのあり方に関して変革期にあることがあげられる。
業界の再編といったことがサプライチェーンのあり方を変えている過渡期にある。さらに、サプライチェーンのあり方として、これまでの輸出型から国内消費も踏まえた輸出、輸入のバランスがとれた形になってきている。それから、やはりネット通販の成長が私たちの成長のエンジンとして貢献している。こうしたことが、経済成長としては1%に満たないところを行き来しているような過去15年間の中で起こっている。
そして、今後日本の経済はアベノミクス効果や日本政府による刺激策などもあって、一段と好転していくと考えている。もちろん競争の激化ということも見込まれるが、われわれの日本に対する期待は大きい。
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