ソフトバンク、子会社上場で約2.4兆円調達へ 通信子会社の想定時価総額は「7.2兆円」

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通信子会社の上場の陰で、ソフトバンクグループの稼ぎ頭も交代している。

ソフトバンクはこれまで、安定した事業展開で「キャッシュフローの1番の稼ぎ頭」(孫氏)の役割を担ってきた。ただ、国内のスマートフォンの普及も一巡する中、成長も落ち着いてきている。代わってグループの牽引役となっているのがビジョンファンドだ。

孫正義社長は大幅な配置転換や構造改革に伴う、通信費の値下げを公言するなど、ソフトバンクにとっては過酷な道が待っていそうだ(撮影:尾形文繁)

ソフトバンクグループの2019年4~9月期決算の営業利益は1兆4207億円(前年同期比62%増)。ビジョンファンドは出資先の株式評価益により、6324億円を稼ぎだした。

ビジョンファンドの伸び率は、前年同期(1862億円)の実に3.4倍だ。一方、国内通信事業であるソフトバンクの営業利益は前年同期比1.4%増の4469億円にとどまった。

料金の値下げ圧力や5Gに向けた投資がかさむ状況の中、孫氏はソフトバンクで通信事業を担う人員を配置転換によって4割削減することで、利益を確保したい考えを示している。逆風の中での上場となるソフトバンクの今後の戦略にも、市場からの注目が集まっている。

子会社上場後、次の一手は?

孫氏はビジョンファンドの今後について、「来年には今年の規模をはるかに超え、日本経済が体験したことのない利益を出せるのではないかと思っている」とも豪語する。投資にはリスクもつきものだが、足元の数字からみれば軍資金の確保は、利益の伸長につながる可能性はある。

ソフトバンクグループは今後もソフトバンクの株式を7割程度保有する見通しだ。目論見書によれば、純利益の85%をメドに配当を実施。引き続き、国内通信事業は連結決算に取り込むことになる。

巨額の売却益を手にした孫氏が、次にどんな手を打つのかが、今後の焦点となる。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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