ソフトバンクが自動車産業の雄になる理屈 「クルマ×IT×通信×エネルギー」をカバー
自動運転車、EV(電気自動車)、ライドシェア、車載用音声AIアシスタント、走行ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)としてのクルマなど──。
新聞、雑誌、オンラインメディアなどにおいて、「次世代自動車産業」に関するニュースを目にしない日はありません。
拙著『2022年の次世代自動車産業』でも述べていますが、日本勢の動きで興味深いのはトヨタ自動車とソフトバンクです。トヨタと並んでもう一社、日産でも、ホンダでもマツダでもない、孫正義社長率いるソフトバンクを挙げたことを、意外に思われるかもしれません。
もちろん、ソフトバンク自体が完成車メーカーになることは将来的にもおそらくないでしょう。ですが、トヨタとは異なる形で、ソフトバンクもまた全方位型のプレイヤー。次世代自動車産業の全レイヤーに対し、すでに「投資をし終わっている」という事実があります。モバイル然り、電力然り。ソフトバンクは従来からプラットフォームをおさえる戦略をとってきた会社ですが、同じ戦いを、次世代自動車産業相手にも仕掛けているのです。
ソフトバンクの次世代自動車産業への投資全容
ソフトバンクが次世代自動車産業にどれだけ投資をしているかを整理してみると、ほぼ全領域といっても差し支えありません。
第一には、彼らの本業でもある通信です。ロボットカー、IoTカーである次世代自動車産業は、通信量、電力ともに膨れ上がります。そこで4Gから20倍も高速化する次世代高速通信の「5G」や、自然エネルギーにいち早く着手していたのがソフトバンクでした。
AI、IoT、半導体の領域では、3.3兆円をつぎ込んで英半導体設計のアーム(ARM)を買収、AI用半導体の王者エヌビディアへも出資ずみです。コネクトの領域では、アリババへの投資を通じて、アリババとホンダが共同開発しているコネクティッドカーに関与しています。またアリババが出資をする小鵬汽車がEVを、ソフトバンクと先進モビリティの合弁によるSBドライブなどが自動運転を手掛けています。
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