ソフトバンク孫社長とサウジ、「蜜月」の行方

記者殺害事件後初の公の場で何を語ったか

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は決算会見に登場。サウジアラビア人記者殺害事件後初めてとなる公の場で、神妙な面持ちで事件について語り始めた(撮影:今井康一)

孫正義社長はいったい何を語るのか――。11月5日にソフトバンクグループ(SBG)が開いた2019年4~9月期の決算会見は、10月上旬に起きたサウジアラビア人記者の殺害事件に絡んで、孫氏がどのような説明をするのかが注目を集めた。

SBG傘下の投資事業「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)にはサウジ政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」(PIF)が巨額出資。そのサウジ政府には現在、記者殺害への関与も取りざたされている。

孫氏は冒頭、「決してあってはならないことだ」と事件を批判。一方でサウジとの今後の関係については慎重な言い回しを一部交えつつも、90分間の会見で語った言葉の行間には、SVFの事業を「なるべくこれまで通りに続けたい」との思いがにじんでいた。

高まるファンドへの依存度

SVFは今や、SBGにとって欠かせない存在だ。この日、SBGが発表した2018年4~9月期の決算では、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比62%増の1兆4207億円と好調だったが、SVFは出資先の株式評価益によって、そのうちの45%を占める6324億円を稼いだ。前年同期(1862億円)と比べると一気に3.4倍となった。

孫正義社長は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの実績を満足げに語った(撮影:今井康一)

そのSVFの今後について、サウジをめぐる懸念がぬぐえない中で迎えた決算発表。会見の冒頭で孫氏はまず、「一言お伝えしたいことがあります」と神妙な面持ちで切り出し、サウジ人記者殺害事件について、「強い遺憾の意を示したい」「真相が1日も早く解明され、そのことへの責任ある説明がなされることを心から願う」と述べた。

他方で孫氏は、「すでにサウジの国民の皆様から投資の資金をお預かりしている。悲惨な事件があったのは事実だが、サウジ国民への責務を、背を向けることなく果たしていきたい」「サウジ国家の資金を預かり運用している責任を投げ出すわけにはいかない」として、事業への意欲を隠さなかった。

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