ソフトバンク孫社長とサウジ、「蜜月」の行方

記者殺害事件後初の公の場で何を語ったか

運用総額が10兆円にのぼるSVFを、孫氏は2017年に設立した。PIFはこのうち、実に半分近い5兆円を出資することになっている。孫氏はすでに第2のSVFの設立構想も公表しているが、PIFの会長を務めるサウジアラビア皇太子のムハンマド・ビン・サルマン氏は10月上旬、米ブルームバーグのインタビューに対し、同規模の出資を考えていることを明かしている。SVFの事業で、サウジ政府はSBGにとって最も重要な、欠かせないスポンサーであることは間違いない。

事件を受けての第2、第3のファンド設立への影響について、孫氏は、「新たなものについては、真相究明が行われた後に考える」と言葉を選んだ。

孫氏が大事にしたいサウジとの関係

ただ、孫氏が第2のファンドも含め、今後もPIFをあてにしている状況はまったく変わっていないとみられる。そのため、会見では言葉にこそしなかったが、今後もサウジ政府との関係を大事にしていきたいのが本音だろう。それは、事件後の孫氏の行動や、この日の会見内容からも見て取れる。

サウジアラビア政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」のウェブサイト。会長を務めるムハンマド・ビン・サルマン皇太子のメッセージが掲載されている(画像:PIFウェブサイトをキャプチャ)

孫氏は10月23~25日にサウジで開かれたPIFが主催する国際投資会議を欠席したものの、会議の直前に現地には入っていた。「サウジ高官に懸念をしっかりお伝えする目的もあった」(孫氏)。事件への深い関与が疑われているムハンマド皇太子とも面会したといい、孫氏は「皇太子は非常に真摯に受け止めていたと感じている」と説明した。

サウジの事件について孫氏が対外的に語るのは、この日の会見が初めてだ。事件後は一貫して沈黙を守ってきた。この投資会議への出欠は注目されていたこともあり、米財務長官のスティーブン・ムニューシン氏や米投資銀行大手ゴールドマン・サックスCEO(最高経営責任者)のデービッド・ソロモン氏をはじめ、政財界ではあらかじめ欠席を表明する動きが目立ったが、孫氏が会議の前から公式に出欠を明かすことはなかった。

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