実際に乗ってみてどう感じたか? これが想像以上にニスモとの差を感じさせるものであった。というのも車両重量1250kgのコンパクトカーにもかかわらず、最大トルクは320Nmに達するのだから、アクセルを踏み込んだ瞬間に2.0Lターボ並みの力強さが、内燃機関とは比べものにならないレスポンスの良さで路面に伝わるので、体が一気にシートに押し付けられる。
そしてそのままグイグイと加速していく様は圧巻だ。さらに今回はテストコースでスラロームやハンドリングを試せるコーナーも走ったわけだが、ここではリーフのニスモを彷彿とさせる一体感の高さを存分に味わえた。
新時代のスポーティさを味わうには最適なパッケージ
やはり電動駆動であるがゆえに、アクセルでコーナリング中の姿勢を細かにコントロールできる。しかもリーフニスモと違ってこのe-POWERニスモSは軽量なノートのボディであるため、コーナリング自体もリーフニスモより軽快で身のこなしがより俊敏な感覚を伴うのだ。
それにしても、リーフのときと同じように電動駆動でスポーツドライビングを一度味わうと、通常のエンジンの反応が鈍く感じるほど。
そう考えると現在、日産の電動駆動ラインナップで味わえるこの走りは、モーターという新世代のメカが生み出した新たな時代のクルマとの一体感であり、対話性だろう。まさに、新時代のスポーティさを味わうには最適なパッケージといえるだろう。
日本には優れたコンパクトカーがたくさん存在しており、それぞれにスポーティな味付けが施された、いわゆるホットハッチと呼べるモデルが多数存在している。
しかしそれらはすべて、これまでの内燃機関を前提に作られた走りの熱さを表現したモデルである。そうした中にあって日産ノートe-POWERニスモSというのは、パッと見た目では、いわゆるホットハッチに属すだろう見た目を持っているし、シャシーに関してもいわゆるホットハッチの手法でチューニングがなされている。
しかしながら、秘めたハートはほかとはまったく違うもので、生み出す熱さもまたまったく種類の異なる、いや次元の異なるものだといえる。
それは例えれば、これまでのホットハッチの熱さはオレンジの炎なのに対して、このニスモSの熱さは青い炎のような感覚。つまり同じ炎でも、まったく種類の違う走りの熱さを持っている、とでもいおうか。
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