採用スケジュールの議論で、学業は誰にも反論できない万能の免罪符のように、いつも扱われてきた。しかし、これまでの採用スケジュールの迷走を見ている限り、免罪符を根拠にすると、実効的な解に到達しないように思える。
経団連の指針に関する言及は多い。決められたルールなので「守るべき」だし、「守らせるべき」と主張する学生もいるが、少数派。多いのは「経団連のスケジュールはいらない。どうせ守られてないから」(文系・上位私立大)というもの。
コメントを読むと、「なぜ」という疑問を持つ学生が多いようだ。経団連がルールを決め、就職ナビの記事やキャリアセンターのガイダンスで3月―6月というスケジュールが指導されるのに、そうなっていないことへの不思議さである。
「経団連の指針にのっとるなら従うべき。従わない企業が多すぎ、結局何のためのルールなのかがまったくわからない」(理系・その他国公立大)
「経団連の指針はほとんど守られていないと思った。企業によって差がありすぎて対策が大変だった。指針は見直してほしい」(理系・上位国公立大)
「3月から始めても間に合うと思うが、遅くても1月には準備を始めたほうがスムーズに選考が進むと思う。また、だいたいの企業は6月までに選考が終わるため、公式には6月解禁というのは不思議である」(文系・上位私立大)
「卒業後」でよいという意見も
時期を定めて一斉に「ヨーイドン」という、日本の新卒一括採用に異を唱える声もあり、数は少ないが「卒業後」でよいとする学生もいる。
「卒業後でもいいのではないかと思う。外国と比べて日本の就活はおかしく感じた」(文系・上位国公立大)
「卒業後がいい」(理系・旧帝大クラス)
「大学卒業後に就活が始まれば良いのにとおもったことはある」(理系・上位私立大)
「学業に少なからず支障が出るので卒業後にやって9月入社にしてほしい」(文系・その他私立大)
日本では新卒一括採用が定着しているので、「卒業後に採用すべきだ」という意見が検討されることはまれだ。国際教養大学の初代理事長・学長を務めた中嶋嶺雄氏が存命の折、「学生には学業に専念させたい。企業には卒業後に採用してもらうようにお願いしたい」と、セミナーの場で発言していたことを覚えている。中嶋氏は東京外国語大学の学長も務めた経歴もあり、国際人らしい見識だといえる。
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