「通年」がいいと言う学生も少なくない。その特徴はコメントが長いことだ。かなりよく考えて書いており、論旨が通っている。きちんと学業に励む学生に思える。
「より海外留学者に配慮したスケジュールを社会全体が受け入れるべきだと思う。ある程度、通年に準じるよう、年に数回入社時期を設けて、人材確保に邁進すべきだと思う。企業は年に一度の新卒採用で、無理に国内大学の学生を採用する必要もないはずである」(文系・早慶大クラス)
「現状の3月解禁のように一斉にスタートするのではなく、通年で募集するようなスタイルだと、研究がある学生としてはありがたいと感じた」(理系・上位国公立大)
「短期になると就活だけにしか集中できず、学業に差し支えるため、通年採用の企業が増えてほしいです。スケジュールが過密になると1つ1つの企業への志望度は高くても、選考を辞退してしまうことがあります」(文系・上位私立大)
いろいろな学生の意見を紹介してきたが、政府は現行の就活ルールを踏襲する方針を示しており、当面の日程の変更はないようだ。
この方針が示されるまでは、2021年卒採用の選考が、東京オリンピックとぶつかることへの懸念の声が多かった。学生ボランティアの動員時期と就活の時期が重なるからだ。確かに4年生の就活や3年生のサマーインターンシップに影響は出るだろう。
ただし、正面衝突と言うことには、ならないはずだ。オリンピックは7月24日~8月9日、パラリンピックは8月25日~9月6日だ。近年の内定率を見ると、4年生の6月1日には約7割、7月1日には約8割に達しており、以降の内定率は緩やかに増加していく。学生の多くは、オリンピックやパラリンピックを十分に楽しみ、手伝うこともできるはずだ。
就活ルールは”制度疲労”
経団連の指針撤廃は時代の要請にかなったものだと思う。経済団体が就活ルールを決めた1950年代と現代では、産業構造や大学進学率はまったく異なっている。
それにも関わらず、経済団体が就活ルールを決める形を続けてきたわけだが、もはや”制度疲労”を起こしているのではないか。経団連の中西会長が、「経団連が就活ルールを決めるのに違和感がある」と語ったのは、そうした背景もあると思われる。
今回の見直しの背景を考えると、日程を明確に示しながら、一向に守られない実態に対する忌避感がある。混乱を避けるために「一定のルール」は作るが、時代に即した採用形態を模索しているようだ。
今後はおそらく通年選考・通年採用が増えていくのだろう。そうならなければ、グローバルな人材獲得などできない。
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