大人と議論できる10歳は、どう育ったか? 親子の会話は、さながら「白熱教室」

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キャベツの県別生産高より、もっと大事なこと

狩野さんは、中学受験に対しても「小学生の遊び盛りのときに、キャベツの県別取扱高とか覚えさせるのはもったいなさすぎる」と、今のところ否定的だ。

小学生の子どもたちにクリティカル・シンキングの基礎を教えるプログラムを運営。同じ志を持つ教師仲間らと「考える力推進委員会」を立ち上げ、教育現場でのプログラム展開も目指している

知識はインターネットでも本でも得られる時代。知識を持っているということの重要性は、相対的に低下していくのではないか。ならば「兄弟げんかしながら解決策を見いだしたり、お友達と遊んだりしながら喜怒哀楽を経験させるほうほうが大切」だと。

最後に狩野さんに、お子さんに求める資質について聞いてみると、ちょっと過激な言葉が返って来た。「たとえ革命が起きても生きていける子に、天災・人災が起こっても裸一貫で立ち上がれる子になってほしいですね」。革命、そのココロは……。

「革命のときには、自分はどう生きればいいかを客観視できなければ、生き残れないはずです。自分を客観視して考えるというトレーニングを通じて『幸せになる力』をぜひ身に付けてほしい。失敗したり、貧乏になったり、病気になったりといった状況もあるかもしれないけれども、そのような中にあっても生きていることへの実感や感謝を持てる、『幸せ力』とでもいうべき力をつけさせてやることが、親の最大の役割だと思います」

考えることを通じて伝えたいのは、幸せになるチカラ。狩野さんはこれからも、ご自身の子どもたちだけでなく、多くの子どもたちに「幸せ力」を授けていくに違いない。

(撮影:尾形文繁)

木村 麻紀 ジャーナリスト

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きむら まき / Kimura Maki

ジャーナリスト、グローバルママネットワーク・コアメンバー、6歳男の子の母親。

環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。

時事通信社記者、米コロンビア大学経営大学院客員研究員、環境ビジネス情報誌『オルタナ』副編集長、パルシステム生活協同組合連合会月刊誌『POCO21』編集長などを経て、現在は一般社団法人グリーンエデュケーションで環境教育ファシリテーターとしても活動中。目下の関心事は「(どんな環境でも生きて行ける)人育て」。

著書に 『ロハス・ワールドリポート―人と環境を大切にする生き方-』(ソトコト新書、木楽舎)、『ドイツビールおいしさの原点 −バイエルンに学ぶ地産地消 −』(学芸出版社)。編著に『社会的責任学入門〜環境危機時代に適応する7つの教養〜』(東北大学出版会)など。

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