トヨタがひそかに進めた「5大陸走破」の裏側 過酷な環境でこそ「いい車」の本質が見える

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ニュル24時間耐久レースで長年チーフメカニックを担当し、この5大陸走破に初年度から参加を行っている凄腕技能養成部の関谷利之さんはこのように語る。

「まず、普段の業務から離れてクルマと純粋に向き合うこと、そして職種が異なるメンバーとの交流により新しい気づきを得ることができます。もっといいクルマづくりという目的に対して手段は人によってさまざまです。

『その目的のために自分は何ができるのか?』

現地現物を通じて自動車メーカーの人間であることをリアルに感じることがこの5大陸の重要な意義だと思っています。また、われわれ現場の人間と違いエンジニアや事務系の人は個々の作業が多いので、『チームとして何ができるか』を知るという意味でも、ニュルブルクリンク24時間耐久レースの活動に非常に近いですね」

クルマの本質である「移動の自由」をリアルに体感

5回目となる2018年はアフリカ走破である。この地ではクルマは単なる移動手段/趣味嗜好の乗り物ではなく、生活のための手段であり命を運ぶ存在である。一般生活道路だけでなく、未舗装路、高地山岳路、サファリ、砂漠といった過酷な環境下で、クルマの本質である「移動の自由」をリアルに体感するというわけだ。

筆者は以前から5大陸走破の重要性を認識していたものの、大々的にアピールするモータースポーツ活動に対して、「なぜもっとアピールしないのか?」と常日頃から疑問に思っていた。ちなみに同業者や自動車メディア関係者に5大陸走破の話を聞くと「名前は聞いたことはある」程度で、残念ながら認知度はほぼゼロ……。ちなみにTOYOTA GAZOO Racingのホームページに5大陸走破のコンテンツは存在するものの、扱いが難しいのか(!?)、メーカー自身もあまり積極的なPRをしていなかったように感じる。

GAZOO Racing黎明期から取材を重ねてきた筆者は、かねて、この活動についてトヨタ同行取材を打診してきたが、今回ついに実現することができた。

今年の参加メンバーはチーム1&2合わせて76人。トヨタの技術員/技能員/事務員、南アフリカをはじめトヨタの現地ディストリビュータースタッフに加え、何とトヨタ車体、日野自動車、スズキと関係会社の社員も参加。特にスズキとは今年業務提携したばかりだが、すでにこのような協業が生まれているのである。また、参加メンバーの安全第一のために救急車やセキュリティを含めたサポートメンバーも同行する。

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