開幕戦から盛り上がりを見せたTリーグだが、この舞台に日本卓球界を牽引してきた「愛ちゃん」が選手として立つことはない。10月21日に自身のブログで引退を表明した福原愛は、開幕戦前日の23日、自らの口で引退を決断した経緯を語っている。
2016年リオ五輪後、同年9月に結婚した福原。翌年には第1子を出産し、競技の第一線から離れて休養していたが、その間は常に「引退」の2文字が頭をよぎっていたという。
そんな“先輩”の決断に対して、中学・高校の先輩後輩の関係でもある水谷は「寂しいですね……。精神的な部分でサポートしてもらったり、相談にも乗ってもらっていたので。ただ、リオ五輪で一緒にメダルを取れたことは嬉しいですし、今はお疲れ様でしたと言いたい」と労いの言葉を送った。
Tリーグ女子の木下アビエル神奈川の浜本由惟は「今まで(日本卓球界を)引っ張ってくださって、とても尊敬していますし、そんな福原さんが残してくださったものを(次世代へ)繋いでいけるように頑張りたい」と開幕前日会見で、後輩として頼もしい姿勢を見せた。
女子の開幕戦も10月25日19時から、同じく両国国技館でTOP名古屋vs.日本生命レッドエルフの試合が行われる。
福原が26年間、築き上げてきたものは、間違いなく次の世代へ受け継がれているといえる。
卓球界の新たな歴史がスタート
「選手のプレーには内容がありましたけど、それ以外の演出や応援の仕方にはまだまだ課題があります。これは日本卓球の特徴でもありますが、プレー中は静かにして、得点が決まった時に声援や拍手を送る。
開幕戦もそういった既存の観戦スタイルでファンの方々は盛り上げてくれたのですが、競技中はもう少し違った形の盛り上げ方があるのではないかと。今すぐに変えることは難しいですが、こうした課題を含めて満足できる部分はあまりないですね」
試合終了後、報道陣の取材に応じた松下氏は、開幕戦を無事に終えた余韻に浸ることはなかった。
開幕戦のチケットは特別価格で、最高10万円の「Sプレミアムシート」のほか、グループで利用可能な4万円の「マス席」や「2階席」(大人7000円)など幅広い価格帯でチケットが販売された。
当日券を含めた5624人が開幕戦に訪れ、「チケットは決して安くないが、有名選手のプレーを実際に見ることができて盛り上がった。(T.T彩たまの)敗戦は残念だったが2時間の試合を2階席からでも楽しめた」(埼玉から来た30代男性)という観客からの声もあった。
世界レベルの内容に大きな盛り上がりを見せ、どの席からでも試合を楽しめる。しかしその反面、克服すべき課題があるのもまた事実。その中で、観客動員をいかに高めていくか、Tリーグファンやリピーターをどう増やしていくのか。
新しいリーグだからこそ、そういった乗り越えなくてはならない壁は日々現れるだろう。一つひとつの課題をクリアしていったその先に、松下氏が描く、日本卓球界の輝かしい未来が待ち受けているはずだ。
まずは産声を上げたTリーグという新しい舞台を通じ、日本の卓球人気がさらに高まることを期待したい。
(文中敬称略)
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