介護のマッチング・プラットフォームとは? ブティックス社長ロングインタビュー
村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):最初のとっかかりを持つことが難しい商材だからこそ、ネットの役割が「発見」に特化しているところが面白いですね。
小林:購入者はご本人ですか、それとも親族の方ですか?
新村:だいたい高齢の親御さんを持つ40代~50代の方が多いですね。杖や靴などは70代ぐらいのご本人のこともあります。ネットは見られるけどネット決済ができないというご相談の電話もあります。
村上:そういった場合は代引きの方法などを案内されているんですか?
新村:そうです。きめ細かい電話の対応が喜ばれて支持を受けています。ご購入された方から別のお客様を紹介していただくこともあります。
村上:コールセンターの方々はアルバイトの方ですか?
新村:当初はすべて社員でした。商品知識はもちろん、ホスピタリティが重要で、困っている方のニーズをできるだけ聞いてお応えしようという精神で対応させていただいています。
村上:単なる入電対応センターではなく、営業組織というほうが近いかもしれませんね。体制的にはどれくらいの規模感ですか?
新村:数年前まで、20人くらいの社員でやっておりましたが、今は蓄積したノウハウがありますので、マニュアルを作って外部のコールセンターにお願いしています。
介護業界で重ねた信頼に基づきBtoB事業を展開
村上:BtoCで成果を上げられた後に、2015年からマッチングビジネス、BtoBへと重点を移していくわけですが、どういったきっかけがあったのでしょうか?
新村:当時、薄利多売で儲けは少なかったものの、黒字になっていました。「ブティックス」が成功して業界でわりと有名になったものですから、2013年頃から上場会社が2社、介護用品のネット通販に参入してきました。彼らが資金を投じてネット広告を大量にかけ、原価ぎりぎりの価格設定をしてきたため、価格競争も熾烈になってきました。
我々も広告を出せば売り上げが伸びるのは分かっているのですが、広告費の比重が大きくなると経営が苦しくなります。
もともと数%の利益でしたからこのままではもたない、という状況に直面しました。そこで、当社が収益を上げていけるようなBtoBのビジネスモデルをしっかり確立しようと、その頃から模索を始めました。
当社は、介護用品のeコマースでは、かなりの実績をあげていたので、取引先のメーカーから信頼が厚いという強みがありました。ここまでやるかというくらい丁寧な対応をしていたものですから、メーカーの社長も一度会いたいと来てくださって、我々のやり方に共感してくださるので信頼関係が構築できていたんです。このネットワーク、リソースを生かすべきだと考えました。