ヤフーと楽天、ライバル2社を分析する ヤフーがECモール出店無料化、楽天は大丈夫?

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ヤフー無料化で、2社にどんな影響があるのか

では、ヤフーのECモール出店料無料化によって、ヤフーと楽天の業績がどのような影響を受けるかを考えてみましょう。

結論から言いますと、ヤフーの無料化によって楽天の業績が大幅に減少することはないと私は考えています。

大きな理由は、ヤフーのECモール「Yahoo!ショッピング」と楽天の「楽天市場」は、競合ではあるものの、少しサービスの性質が異なるということです。楽天市場は、顧客に対して情報提供をしたり、コンサルティング業務を行っていますが、Yahoo!ショッピングはそのようにフォローするサービスがありません。

楽天市場に出店している約4万1000店のうち、約8500店はYahoo!ショッピングにも重複して出店していますが、こうしたサービスの違いによって、同じ事業者でもヤフーの店舗より、楽天の店舗のほうがほぼ3〜4倍の売上高があるというのです。このような点でも、いくらヤフーが無料化したとしても、楽天市場が大きなダメージを受けるとは考えにくいのです。

そもそもヤフーは、楽天市場よりも、すでに手数料無料をうたっている小規模なECモールとの競争を意識したのではないかという見方もあります。手数料無料のECモールの登場によって、「ヤフーオークション(ヤフオク)」の利用者が減る可能性があるという観測があるからです。そこで今回の無料化によって、ヤフオクを守ろうとしたのではないか、というのです。

さらには、先ほども分析したように、楽天はインターネットサービス業を主力としながらも、金融業でも安定した収益を得ているということも、楽天の収益が一気に損なわれないと考える理由です。

以上の点を考えますと、ヤフーの無料化によって、楽天が顧客を奪われて大幅に利益を落とすとは考えにくいですし、ヤフーも一時的に減収することはあるかもしれませが、収益力そのものが弱まるとは思えません。ヤフーの宮坂学社長も、「四半期で2ケタ億円ぐらいの売り上げが消える」と発言していますが、それも、ほかの事業でカバーする計画があるということです。ほかのECモールの運営会社は大きな打撃を受けるかもしれませんが、この2社に関しては、その影響は限定的ではないかと思います。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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