つまり、ヤフーは利益の多くを広告収入で得ていますから、ECモールの手数料を無料化しても、それによって集客できれば、さらに広告収入を稼ぎ出すことができるという狙いがあるのです。ヤフーは超高収益企業ですから、無料化によって少々利益を減らしたとしても、将来的に主力のマーケティングソリューション事業を大きくすることを考えれば、安いと考えたのでしょう。
次に、貸借対照表(同11~12ページ)を見てみましょう。自己資本比率を計算しますと、74.2%と驚異的な高さであることがわかります。これは、超優良企業と言っていい水準です。
さらに「資産の部」(11ページ)を見ますと、「資産合計」7433億円のうち、「現金及び預金」が4140億円です。「負債の部」(12ページ)に関しては、項目の数もほとんどありません。「純資産の部」も、「純資産合計」5512億円のうち、利益の蓄積である「利益剰余金」が5280億円です。見方を変えますと、「資本金」80億円と「資本剰余金」31億円の計111億円を注入した事業が、5000億円を生んだと言えるのです。文句なしの超優良企業だと言えます。
これだけ儲けていても、この利益水準の企業としては設備投資の必要がほとんどありません。「キャッシュ・フロー計算書」(14ページ)を見ますと、「投資活動によるキャッシュ・フロー」のうち、「有形固定資産の取得による支出」は159億円しかないのです。「営業活動によるキャッシュ・フロー」にある「減価償却費」も121億円しかありません。
先ほども述べたように、IT事業はおカネがかからないということが数字からも読み取れます。競争が激しいうえに、ポータルサイト業は参入障壁もありますが、当たれば大儲けだということです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら