ヤフーと楽天、ライバル2社を分析する ヤフーがECモール出店無料化、楽天は大丈夫?

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次に大きく占めるのは、「インターネット金融」の237億円。これは、インターネット銀行や証券サービス、クレジットカード関連のサービスなどによる利益です。ちなみに「その他」は、通信サービスやプロ野球球団の運営事業が含まれます。

すでに金融業のような、バランスシート

バランスシートは、金融業に近い(撮影:尾形 文繁)

さらに、前年である2011年12月期のセグメント利益と比較してみますと、「インターネットサービス」は、「売上高」が2285億円から2858億円まで増えていますが、セグメント利益は655億円から586億円まで落としています。

一方、「インターネット金融」は、売上高が1411億円から1564億円まで増加し、セグメント利益は129億円から237億円まで、ほぼ倍増しています。

このような点を見ますと、楽天は、インターネットサービス事業のほか、インターネット金融事業を拡大させていることがわかります。特に金融事業は、収益が安定するという特徴がありますから、今後はこちらの事業を大きくしていこうという思惑があると考えられます。

貸借対照表(短信の8~9ページ)を見ても、ほとんど金融業のバランスシートになっています。「資産の部」(8ページ)を見ると、「資産合計」2兆1084億円のうち、「流動資産合計」が1兆8183億円と、資産のほとんどを流動資産が占めていることがわかります。中でも特に大きいのが、「銀行業における有価証券」4286億円と、「銀行業における貸出金」1894億円。連結で見た場合にバランスシートのかなりの部分が、金融業務のバランスシートになっているのです。

さらに「負債の部」(9ページ)を見ますと、「銀行業における預金」が8080億円計上されています。これは信用金庫クラスの資金量と同じ規模ですので、楽天銀行はそれなりに規模の大きな銀行なのです。

また、「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算すると、12.4%と低い水準ですが、金融業として考えると、非常に高いと言えます。見方を変えますと、金融を除いた資産と負債で見れば、とても優良な財務内容です。これから、仮にメインビジネスであるインターネットサービス業の収益があまり大きく損なわれることがあれば別ですが、もしそれが多少損なわれることがあるとしても、楽天は金融業でも安定した収益を生んでいますから、ある程度、余裕を持って見ることができるのではないかと思います。

次ページ今度は、ヤフーを分析してみよう
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