子どもを「ご褒美で釣る」親はなぜダメなのか

手っ取り早い効果の裏で密かに進行する弊害

なかなか親の言うことをきかない子どもに「ご褒美」を与えることはプラスに働くのでしょうか?(写真:Tirachard/iStock)

子どもは親が望むようには動いてくれないものです。なかなか勉強してくれませんし、テストでいい点を取ってもくれません。翌日の支度をしてくれませんし、お手伝いもしてくれません。

子どもに言うことをきかせるためにはやむなし?

そんなとき、親がつい手を出してしまうのが、お金や物で釣る“ご褒美方式”です。たとえば、自分で勉強したら10円、テストで100点を取ったら100円、洗濯物をたたんだら10円などです。ご褒美で釣ると、子どもは重い腰を上げてくれます。でも、これってどうなんでしょう? 弊害はないのでしょうか。

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このことを考えるうえで、私の教師としての体験を2つ紹介します。まず1つ目。ある年、私は4年生を受け持っていたのですが、運動会の競技で盛り上がっているとき、私は子どもたちに「さあ、みんなで赤組を応援しよう」と言いました。すると、井上君(仮名。以下、名前はすべて仮名)が「先生、応援したら、いくらくれる?」と言いました。私は驚いて、「いやいや、そういうことじゃなくて……。がんばってる赤組の仲間を応援しようよ」と答えるのが精一杯でした。その前から気にはなっていたのですが、井上君はよく「いくらくれる?」と言う子でした。

井上君は、友だちが「消しゴム貸して」と言うと「いくらくれる?」と答え、「一緒に帰ろう」と誘われると「いくらくれる?」と答えます。言われたほうはいい気持ちがしませんから、みんな閉口していました。

後でわかったことですが、実は井上君の家では「○○したら10円」「○○したら50円」等、細かく決められていたのです。私は、この子はそういうやり方が身に付いてしまっているのだなと感じました。

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