子どもを「ご褒美で釣る」親はなぜダメなのか 手っ取り早い効果の裏で密かに進行する弊害

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つまり、絵を描く時間が終了してからも、メダルのことを聞かなかった子どもたちの中には絵を描き続ける子がたくさんいましたが、メダルを約束された子どもたちは終了と同時に絵を描かなくなりました。彼らは、無意識のうちに「大人がご褒美をくれるのは、子どもに嫌なことをさせたいときだけだ。今、絵を描いたらメダルをくれると言った。だから絵を描くのはきっと嫌なことなんだ」と考えたのです

同書には、この他にも数々の興味深い実験が紹介されています。それらをつぶさに検討した後、ワイズマンは「子どもにいくら報酬を与えても、結果としては彼らにそれが嫌なことであるかのように行動させてしまう。そのため、報酬が出されなくなると同時に、目的の行動は終わりを告げるか、以前より状態が悪化する」と結論づけています。

一つひとつ積み重ねていくことが大切

以上のように、子どものころから、「お金をもらうために勉強する」「ご褒美がもらいたいから縄跳びの練習をする」などの生き方を身に付けさせるのは危険です。そうではなく、勉強自体の面白さを味わえるようにしてあげること、縄跳びの練習自体を楽しめるようにしてあげること、そして、できるようになったこと自体を喜べるようにしてあげることなどが大切です。

そのためには、子どものちょっとしたがんばりを褒めてあげることや、ほんの少しの成長を一緒に喜んであげることなど、「親にできること」を誠実に積み重ねることが大事であり、これが子育ての正しい道です。手っ取り早い効果を求めて間違った近道を選ぶと、後で弊害に直面することになります。なお、「親にできること」については、本連載でも度々書いていますのでご参考にしてください。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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